UO:2010-04-13: Lost & Found, Part 2


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Global Edition


Lost & Found - Part 2 / 徳の影 - 失ったもの、見つけたもの(Lost & Found) - 2

Author: Mark Steelman Published: April 13, 2010



Captain Avery stood before Queen Dawn at attention, even though with Lord Francesco dead he wasn’t technically a member of any militia. Old habits from old identities die hard, thought Sherry.

A few moments earlier, Captain Avery had entered the chamber and found Queen Dawn and Dexter the Mage in an animated debate. He didn’t seem to notice Sherry the mouse, with whom they had also been speaking, because she was under the edge of the sofa by one of the legs. All three of them had stood as he entered the room; their shame in his presence was palpable.

“Oh, I’m sorry to interrupt, your highness. I will come back later.”

“Please come in. We are discussing something that concerns you.” said Dawn, almost apologetically.

“Yes, your highness.” And thus he had sprung to attention.

“At ease, Captain.” Dawn’s usual verve was returning and she smirked. “This isn’t an inspection.” She extended her hand to him to welcome him. Avery stepped forward, took her hand and bowed until his forehead touched the back of it. Well, at least he managed not to salute her again, Sherry thought.

The queen blushed at his gallant, if awkward, gesture. “I trust that your accommodations here at the castle have been acceptable?” she fumbled.

“Yes your highness, it is far above what I am accustomed to.” Avery said with a pleasant smile. He quickly added, “I meant to refer to when I was living in the barracks of Lord Francesco, of course.”

Wow, thought Sherry, Now I bet Dawn and Dexter wish they were hiding under the sofa…. Avery is truly a remarkable man to resist bitterness after so much hardship, Sherry thought to herself.

Japanese version

アベリー隊長(Captain Avery)はドーン女王(Queen Dawn)の前で直立不動の姿勢を取っていた。主のフランセスコ卿(Lord Francesco)は亡くなり、今や彼はどの軍にも属していないというのにである。 身についたクセはなかなか抜けないものよね、 とシェリー(Sherry the mouse)は思った。

この少し前、ドーン女王と魔術師デクスター(Dexter)が部屋で活発に議論を行っている所にアベリー隊長が入ってきた。この議論にはねずみのシェリーも参加していたのだが、彼女はソファの下、ちょうど脚の近くにいたので、アベリーは彼女に気付かなかったようだ。彼の登場で、明らかにこの三人はきまり悪い状況に陥ったようだった。

「これは、お邪魔して申し訳ございません。 出直してまいります」

「いえ、お入りなさい。ちょうどあなたの事を話していたのです」 とドーンは半ば弁明するように言った。

「了解しました。女王陛下」 こうして彼はびしっと直立不動の姿勢をとったというわけである。

「そう硬くならなくていいわ」 ドーンはいつもの活気を取り戻して笑みを浮かべた。「閲兵式じゃないのよ」 彼女は彼に手を差し伸べた。アベリーは歩み寄り、額が彼女の手の甲に触れるまで深々と礼をした。 少なくとも、敬礼以外の態度で応じることは出来るようね、 とシェリーは思った。

彼の(不器用とはいえ)礼儀正しい振る舞いに、女王は頬を染めた。「この城での待遇は、満足していただけて……?」 彼女は口ごもった。

「はい、女王陛下。今までよりずっと素晴らしいです」 快活な笑みを浮かべてアベリーは答えたが、急いでこう付け加えた「もちろん、フランセスコ卿の兵舎で生活していたときに比べて、という意味であります」

あらあら、 とシェリーは思った。 これじゃドーンとデクスターはできることならソファーの下に消えてしまいたいとでも思ってるでしょうね……。あんなひどい目にあったのに、アベリーは苦難に耐える素晴らしい人だわ、 とシェリーは心の中で思った。

八ヶ月前、軍で輝かしい実績を重ねていたアベリーは、カスカ(Casca)によって統治評議会暗殺の容疑でユーの牢獄に送られ、死刑執行を待つ身となった。晴れて解放されたのはつい最近のことだ。様々な出来事が勃発したせいで、彼のことは単に忘れ去られていたのである。「うっかり無実のあなたを八ヶ月も牢にとどめてしまったことは、本当に、本当に、本当に申し訳なく思っています」 という気持ちを率直に伝えるため、ドーン女王はアベリーを賓客として城に迎えたのである。

牢獄に入ってから彼は変わったわ、 とシェリーは考えた。 前より穏やかになったみたい。 以前シェリーが城内で彼を見かけたときには、いつだって早足で歩き、敬礼し、報告し、新しい命令を受け、そして早足で立ち去っていた。ユーから戻って以来、アベリーは一日の大半を庭園や岸辺で過ごしている。彼はブリテインの喧騒を離れ、草や太陽や海を楽しみたいのではないかと思えた。彼の衣服でさえ、以前よりもくつろいだものになっていた。リネンシャツとソフトレザーブーツが最近の彼の制服だったのだ。

「あなたの素敵なお話がきっかけで、シェリーが重要な発見をしたのです」 ドーンが息も詰まるような社交的な所作から上手く気を取り直せるようになってきたことにシェリーは気付いた。練習を積んだに違いない。

冒険のきっかけとなった物語を思い出して、シェリーは笑みが漏れた。 アベリーなら、間違いなくリカルド(Ricardo)の完璧な真似ができるわ。だって牢獄であの男と一緒に過ごした時間はたっぷりあったはずだもの。

シェリーの心の中のアベリーは、前かがみの姿勢になり、片方の眼を見開き、反対側の眼は細め、リカルドとそっくりのボサボサ頭の近くで指を振り始めた。「ロード・ブリティッシュ(Lord British)の宝物庫は、オレたち泥棒にとっちゃ伝説の場所よ! あん中には値打ちもんが入ってる。ロード・ブリティッシュの所蔵品だってんで余計お値打ちもんのシロモノがよ! そんなお宝の中には、二面性のクリスタル(The Crystal of Duplicity)ってぇブツがあるんだぜ。これはミナックス(Minax)がトランメルへ侵攻したときに、ロード・ブリティッシュがあの女(アマ)から取り上げた物なんだ……」

ドーンの方を向いていたアベリーは向き直って彼女をまっすぐに見据えた。「これはこれは。シェリー殿。一体何があったのです?」 急に彼から話しかけられ、妄想から引き戻されたシェリーはどぎまぎした。 わたしに気付いてたの? 思わずソファー下の奥に飛びのきそうになったものの、彼女はなんとか踏みとどまった。

「わたし、宝物庫と……クリスタルを見つけたの」 とシェリーは踏ん張って言った。

「まさか、冗談でしょう」 アベリーは当惑した表情でドーンに向き直った。「あれは哀れな痩せ男から聞いた与太話です」 「与太話かどうかはともかく、とにかくクリスタルは存在し、ここにあるのよ。この秘密をバラすかどうか、私たちは決めようとしているのです」 とドーンは続けた。「そしてもちろん……どうやってバラすかということも」

シェリーは眉をひそめた。その表現は使わないようにと彼女はドーンに言ったのに。上品な言葉ではないのだから。

「でも、それだけではありません」 とドーンは嬉しそうに言った。「デクスター、彼に話してやって」

「ああ、ええ、はい」 ドーンとアベリーの両者を見やりながらデクスターは話しはじめた。「ええと、私の研究によれば、シェリーの証言によるクリスタルは、あのニスタル(Nystul)が所有していたクリスタルと同一の品と考えられまして……、その……ニスタルというのはですね、フェルッカからトランメルを切り離し、トランメルを守護する呪文を編みだした人物でありまして……」

「ニスタルは存じ上げております。デクスター殿」 と、うなずくアベリー。

「デクスター、手短にお願い」 と、いらつきながらドーンは言った。

デクスターは顔をしかめたが続けた。「その、私の理論が正しければという前提になるのですが、そのクリスタルは実際のところ……」

「呪いを打ち払ってマジンシアを再興できるんですって!」 たまりかねたドーンが口をはさんだ。「もう長いこと復興を試みてきただけに、とても信じられないわ! でも、彼がクリスタルを使えばそれが可能だと思うんですって! アベリー、あなたには隊を率いてその復興を成し遂げてきて欲しいのです」

デクスターは話の途中で口を開いたまま固まり、そしてアベリーは目を大きく開いた。「おお」 と、アベリーは興奮で声を漏らしたが、気持ちを静めて床に視線を落とした。「親愛なる女王陛下、そのようなお言葉をいただき、まことに光栄に存じます。しかし、お受けすることはできません。ここに伺ったのも、実はお暇をいただこうと……。再び任につかせていただく前に、自分が自由であることを確認する時間が私には必要だと思っているのです」


その少し後、シェリーと女王はアベリーが城門をくぐって去り行く姿を見送っていた。シェリーの目には涙がこみあげてきた。彼と共に行こうかとさえ一瞬考えたほどである。彼が去れば寂しく思うに決まっているし、彼のそばにいる時はいつだって楽しかったのだから。そして、ドーンも同じ気持ちであることに彼女は気づいていた。