Difference between revisions of "UO:2001-10-31: Motives"

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『エクソダス(Exodus)』彼は低い声で話し始めた。『あなたには人間どもがこの計画の遂行全体を台無しにしてしまうかも知れぬ、という認識が薄いのではないか?』突然、金属の手が飛び出し、矢のような速さで部屋の中を横切ると、反対側の小さな像を打ち砕いた。遠くの壁の小さな光は、宝石を通して見た火の光のように輝いていた。
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『落ちつきなさい。人間どもはまだ我々の秘密の方策に気付いてさえいない』その声は、鳴り続く虫の羽の音のように、淡々と続いた。『Ver Lor Regは私の完全な支配下にあり、働き手たちは増員された監督官の下で建設を始めたところ。制御装置はきっちりと守られている』
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『今朝方、スパイの一人がブリテインからやっとの思いで私に報告を持ち込んできた。それによれば、王の古くからの腰巾着のニスタルがパワークリスタルの一つを手に入れ、こうして我々が話している間にも、それを調査しているとの事』彼がゆっくりと動き始めると、それに合わせてマントも微かに動いていた。
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エクソダスは一時言葉を失った。しばらくの間、その光は揺らめいていた。『しかし、あの魔道師は我々がブリタニア中にばらまいた装置の秘密をつかむことはできなかったはず』
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『ああ。だが、奴は今ごろ十分なことを知っているだろう!エクソダス、あなたはいかなる局面においても人間を過小評価し過ぎるのだ!』彼は振り返り、光の壁に面した。彼が話すにつれて、その距離は短くなっていった。『私はこの男が災いとなるであろう事を以前にも警告し、あなたはそれを無視した。そして人間どもが我々の居場所を見つけるかも知れぬと警告した時も、あなたは再び無視をした。今となっては、この忌々しい魔導師が研究所にパワークリスタルを持っているだけでなく、今は亡き者となった、奴の派遣した調査隊が我々を見つけ出し、そして、まさにあなたの名前が全ての人間の間で囁かれているのですぞ!』
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『我々が…失敗するとでも…?』
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『私はあなたより人間について良く知っているつもりだ』彼は再びゆっくりと歩み始めた。『私のこの世界への理解、そして知識こそ、あなたが私に近づいてきた理由ではなかったのか?』 『その通り。そして、あなたがかつて人間であったことも理由に入りましょうか。この世界を支配しようとするその意志が、私のそれと通ずるものがある。また、今、玉座にある王の知恵より優れた物を持つ人間、それらこそ、私があなたに力を授けた理由に他ならない。私は時が経ち過ぎたといえる程、ブリタニアを離れていたのだから』
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『あなたには、我々が征服しようとしている世界を過小評価することなく、この地に慣れて欲しいと願っている。私はサベージとオークの混乱を作り出すよう頼んだ覚えなど無いし、このままでは一体のゴーレムを完成させる間もなく、人間どもはあなたの存在が見つけ出されていただろう!』その影はエクソダスの声の元となるものへ、怒りを込めながら指差した。『我々はガーゴイルの奴隷とゴーレムを失う危機にある!そうなったらどうするのです?あなたに助力を始めて以来、どのようにこのブリタニアを軍隊なしで征服するのか、あなたの口から聞いた試しがない!』
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『この件についてお考えのことがあるようですな』エクソダスは静かに返事をした。
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その影は腕を下ろし、落ち着きを取り戻した『あなたが提供してくれた今回の記録を調査しておこう。きっと他にも選択肢があると信ずる。でなければ、ガーゴイルシティーを失うのみだ』その暗い影は光の元を離れ、扉の方へと向かっていった。『やらねばならぬことがある。戻ってきたらまた話をしよう』
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『お気の召すままに』
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マントを身にまとったその影が手を動かすと、重たい扉がゆっくりと開いた。彼はエクソダスのほうに振り向くと告げた。『以前にも言ったと思うが、勝利が完全なものでない限り、私は満足することはない』
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『あなたのブリタニアへの復讐は果たされるはず』エクソダスは言った。『しばらくの後には、全人類があなたをソーサリアの支配者、ロード・ブラックソン(Lord Blackthorn)として知ることになるだろう』
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ブラックソンが振り向きその部屋を出るとき、彼は不敵な笑みを浮べずにはいられなかった。
  
 
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Latest revision as of 09:27, 31 May 2017


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Global Edition


Motives / 真意

Author: Unknown author Published: October 31, 2001



The cloaked figure moved silently through dark hallways, only the sound of flickering torches echoing as he passed. At his approach, the doors at the end of the passage slowly pushed open with the heavy grinding sound of metal on stone. As he passed through the doorway, his hand made a small gesture and the doors slammed shut behind him with a deafening thunder.

Exodus," he spoke in his deep voice, "it seems your lack of understanding of the humans could very well cost us this entire campaign!” His arm shot out and knocked a small statue across the room like an arrow. The small lights on the far wall began to sparkle like firelight through gems.

“Calm yourself. The humans have yet to even discover our security measures." The voice droned on like a constant buzzing of insect wings. "Ver Lor Reg remains under my complete control. The workers have started construction on even more of my overseers. The control device is protected.”

“One of my spies managed to bring me a report this morning from Britain. It seems the King's old lackey Nystul has one of the power crystals and is examining it as we speak.” The figure began to pace slowly, his cloak drifting behind him slightly.

Exodus paused and the lights flickered for a moment. “The mage could not learn the secrets of the devices we have scattered over Britannia.”

“No, but he may learn enough! You underestimate the humans at every turn, Exodus!" He turned and faced the wall of lights, drifting closer as he spoke. "I warned you this man might cause us trouble. You chose not to concern yourself. I warned you that the humans might discover our lair. Again, you did not show concern. Now, not only does this blasted wizard have a power crystal in his laboratory but his search party, although now dead, did discover us and now your very name is being whispered by every human!”

“You believe we will fail?”

“I believe I understand humans better than you." The figure resumed pacing. "Was it not my understanding and knowledge of this world that made you approach me?”

“Yes it was. And the fact that you were human. A human whose diligence for ruling this world would compare to my own. And a human with ideas greater than those of the king who stood in power above him." The lights glinted for a moment. "That is why I gave you power. I have been away from Britannia for too long.”

“I would suggest you begin to acclimate yourself by not underestimating the world we are trying to conquer. Had I not suggested you orchestrate the confusion with the savages and orcs, the humans might have found you before a single golem had been built!" The figure pointed angrily towards the source of Exodus' voice. "We risk the loss of the gargoyle slaves and our golems! What then? Since I have joined you I have yet to hear you speak of how we shall conquer Britannia without an army!”

“I assume you have thoughts on the matter?” Exodus replied calmly.

The figure lowered his arm and regained his composure. “I have been studying the records you gave me. I believe we may have other options should we lose the gargoyle city." The dark figure turned away from the lights and slowly drifted towards the doorway. "I have business to attend to. We shall discuss it when I return.”

“As you wish.”

The cloaked figure moved his hand and the heavy doors swung open slowly. He turned back to Exodus' voice. “As I said before, I will not be satisfied until victory is absolute.”

“You will have your vengeance on Britannia,” Exodus said. "Soon all humans will know you as Lord Blackthorn, ruler of Sosaria.”

As Blackthorn turned and moved out of the chamber, he could not help but smile.




揺らぐ松明の炎だけを微かに響かせ、マントに身を包んだ男が静かに暗い廊下を歩いていた。男がその廊下の終わりに近づくと、石と金属とがきしみ合うような音を立て、扉が重々しく開いた。一歩中に入ると、男は片方の手でわずかな仕草を取った。その瞬間、扉は彼の後ろで、耳をつんざくばかりの雷鳴と共に一瞬にして閉じていた。

『エクソダス(Exodus)』彼は低い声で話し始めた。『あなたには人間どもがこの計画の遂行全体を台無しにしてしまうかも知れぬ、という認識が薄いのではないか?』突然、金属の手が飛び出し、矢のような速さで部屋の中を横切ると、反対側の小さな像を打ち砕いた。遠くの壁の小さな光は、宝石を通して見た火の光のように輝いていた。

『落ちつきなさい。人間どもはまだ我々の秘密の方策に気付いてさえいない』その声は、鳴り続く虫の羽の音のように、淡々と続いた。『Ver Lor Regは私の完全な支配下にあり、働き手たちは増員された監督官の下で建設を始めたところ。制御装置はきっちりと守られている』

『今朝方、スパイの一人がブリテインからやっとの思いで私に報告を持ち込んできた。それによれば、王の古くからの腰巾着のニスタルがパワークリスタルの一つを手に入れ、こうして我々が話している間にも、それを調査しているとの事』彼がゆっくりと動き始めると、それに合わせてマントも微かに動いていた。

エクソダスは一時言葉を失った。しばらくの間、その光は揺らめいていた。『しかし、あの魔道師は我々がブリタニア中にばらまいた装置の秘密をつかむことはできなかったはず』

『ああ。だが、奴は今ごろ十分なことを知っているだろう!エクソダス、あなたはいかなる局面においても人間を過小評価し過ぎるのだ!』彼は振り返り、光の壁に面した。彼が話すにつれて、その距離は短くなっていった。『私はこの男が災いとなるであろう事を以前にも警告し、あなたはそれを無視した。そして人間どもが我々の居場所を見つけるかも知れぬと警告した時も、あなたは再び無視をした。今となっては、この忌々しい魔導師が研究所にパワークリスタルを持っているだけでなく、今は亡き者となった、奴の派遣した調査隊が我々を見つけ出し、そして、まさにあなたの名前が全ての人間の間で囁かれているのですぞ!』

『我々が…失敗するとでも…?』

『私はあなたより人間について良く知っているつもりだ』彼は再びゆっくりと歩み始めた。『私のこの世界への理解、そして知識こそ、あなたが私に近づいてきた理由ではなかったのか?』 『その通り。そして、あなたがかつて人間であったことも理由に入りましょうか。この世界を支配しようとするその意志が、私のそれと通ずるものがある。また、今、玉座にある王の知恵より優れた物を持つ人間、それらこそ、私があなたに力を授けた理由に他ならない。私は時が経ち過ぎたといえる程、ブリタニアを離れていたのだから』

『あなたには、我々が征服しようとしている世界を過小評価することなく、この地に慣れて欲しいと願っている。私はサベージとオークの混乱を作り出すよう頼んだ覚えなど無いし、このままでは一体のゴーレムを完成させる間もなく、人間どもはあなたの存在が見つけ出されていただろう!』その影はエクソダスの声の元となるものへ、怒りを込めながら指差した。『我々はガーゴイルの奴隷とゴーレムを失う危機にある!そうなったらどうするのです?あなたに助力を始めて以来、どのようにこのブリタニアを軍隊なしで征服するのか、あなたの口から聞いた試しがない!』

『この件についてお考えのことがあるようですな』エクソダスは静かに返事をした。

その影は腕を下ろし、落ち着きを取り戻した『あなたが提供してくれた今回の記録を調査しておこう。きっと他にも選択肢があると信ずる。でなければ、ガーゴイルシティーを失うのみだ』その暗い影は光の元を離れ、扉の方へと向かっていった。『やらねばならぬことがある。戻ってきたらまた話をしよう』

『お気の召すままに』

マントを身にまとったその影が手を動かすと、重たい扉がゆっくりと開いた。彼はエクソダスのほうに振り向くと告げた。『以前にも言ったと思うが、勝利が完全なものでない限り、私は満足することはない』

『あなたのブリタニアへの復讐は果たされるはず』エクソダスは言った。『しばらくの後には、全人類があなたをソーサリアの支配者、ロード・ブラックソン(Lord Blackthorn)として知ることになるだろう』

ブラックソンが振り向きその部屋を出るとき、彼は不敵な笑みを浮べずにはいられなかった。