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The explosion shook the fortress and hurled Dasha to the floor. The Jukan warriors around her toppled in a clatter of armor and spears. She regained her bearings and glanced about the room. The stone walls had cracked. The floor shifted. The fortress verged on collapse. | The explosion shook the fortress and hurled Dasha to the floor. The Jukan warriors around her toppled in a clatter of armor and spears. She regained her bearings and glanced about the room. The stone walls had cracked. The floor shifted. The fortress verged on collapse. | ||
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''Time tramples greatness to rubble and dust, but glory is never forgotten. Elder winds sing of the past to those calm enough to listen.'' | ''Time tramples greatness to rubble and dust, but glory is never forgotten. Elder winds sing of the past to those calm enough to listen.'' | ||
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+ | その爆発は要塞を揺るがし、ダーシャ(Dasha)を床へ叩きつけた。彼女の周りのジュカ(Juka)兵士も槍と鎧とをぶつける音を立てながらふらついた。彼女は自分の置かれている状況を捉え直し、部屋全体を一目見た。石の壁はひび割れていた。床が揺れ動いた。要塞は今にも崩壊しようとしていた。 | ||
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+ | 師アドラナス(Adranath)の儀式が始まったのだ。ダーシャとケイバー(Kabur)が素早く行動をしない限り、ジュカとミーア(Meer)の滅亡は目の前にやって来ていた。 | ||
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+ | 彼女は膝立ちになり怒鳴った。『エクソダス(Exodus)!魔術師め、姿を見せろ!』彼女の指先から、暗く奥まった小室を照らし出す呪文が放たれたが、ジュカの謎めいた支配者はそこにはいなかった。彼は、幾何学的な配列の明滅するジェムストーンと銀のはめ込みをちりばめた奇妙な祭壇か台座か見当のつかない物を残して立ち去っていた。彼女は呟いた。『危機を前にして、お前の尊敬する主人は何処なのだ、ケイバーよ。』 | ||
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+ | そのウォーロードは怒りを込めて言った。『ジュカは魔術師の後ろに隠れたりはせぬ。我々は自分自身の手で以って戦うのだ!』そして、彼は出入り口を通りぬけるべく突撃した。ダーシャは彼の後を追った。彼らは強固な要塞の前部にある高い壁の頂上にやって来た。その眺望を得て、彼らは今朝の戦いの地震で荒廃させられた目の前に広がるジュカの都市を見渡した。無秩序な乱戦は通り中に血を浴びせた。そして、新たな恐怖が谷全体を飲み込もうとしていた。幾組かのミーアの長老達が、まさに魔法詠唱の最中で激しく光り輝きながら要塞の周りにリングを形作っていた。その輪の北の地点は師アドラナス自身によって占められていた。彼の合図で、長老達から火の巨大な輪が波紋を形作る様に放たれ、光り輝く大火の中の都市を燃やし尽くしていった。彼女は顔に受ける熱を防ぐ為に腕を上げた。要塞は炎の撃ちつける衝撃に揺れた。そしてそれは地獄の海の波の様に飛沫をあげ、上下に振動した。すると黒い煙が全てを飲み込み、ダーシャは壁の端から離れた。 | ||
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+ | 彼女の心は痛々しく閉じた。エクソダスは正しかった。アドラナスは谷に於いてジュカとミーアを問わず全ての民の虐殺を導いたのだ。その大虐殺は情け容赦ない大波の中で都市を粉々にしていった。とても酷い熱さだったので彼女の毛皮も焦げ始めた。彼女は地面で身動きの取れない数え切れない程の人を救うのには既に遅すぎると分かっていた。頭の中が絶望で一杯になった。ご先祖様、私達を見捨てないでください!私達はこの様な終焉を迎えたくはありません! | ||
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+ | 力強い手が煙の外から伸びてきた。それは彼女を煙の外へと引き抜き、そこで彼女をしっかりと掴んでいた。彼女は激しい怒りにねじれたウォーロード・ケイバーの緑色の顔を目にした。『我が民よ!』彼は叫んだ。『お前達は何をしたのだ?偉大な母により、お前達は我々全てを殺したと言うのか!』 | ||
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+ | 彼女はケイバーの顔を見つめた。その顔はミーアの故郷である森の破壊を組織した男の顔であった。彼は不幸にもエクソダスに利用されている者だったのであろうが、それでもやはり彼には罪があった。彼の単純さがこの戦争を引き起こしたのだ。彼はアドラナスと同じ位の責任があった。彼女の恐怖は怒りの爆発へと変わり、彼女は彼の胸部を蹴りつけながらわめいた。彼は彼女を放し、壁から転落した。 | ||
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+ | 彼女はその端の向こうを凝視した。彼は大火の中へと落ちてはいなかったが、要塞と独立した塔とを結びつける狭い石の橋の上に着地していた。彼はさっと立ち上がり、槍を投げつけた。彼女は数インチの差でそれを避けた。しかし、彼女の足が再び地に着いたとき、その壁はアドラナスの呪文の衝撃により震動した。大きな石の塊が秩序無く落下してくる。ダーシャは空を傾きながら走り、ケイバーの隣に着地した。そのウォーロードは重たい剣を抜き、彼女に向かって突進して来た。 | ||
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+ | 闇雲な怒りがその時彼女を駆り立てていた。ケイバーの剣の振りは糖蜜のようにのろい物に彼女には直感的に感じられた。彼女はそれを素早くかわし、彼の傷ついた体へ次々に攻撃を叩きこんでいった。そのウォーロードはふらついていたが、それでも彼女は攻撃を止めなかった。要塞が揺れる衝撃の度に炎は勢いを増し、煙は肺に痛みを感じさせながら彼女の呼吸を妨げた。ケイバーの剣が彼女の防御に一点の隙を見つけた。剣の先端が彼女の腹に押し込まれた。しかし、その痛みは彼女にとって何でもない物であった。彼の煙で煤けた姿に向かって彼女は怒鳴った。『お前の馬鹿さ加減が私達を滅ぼしたのだ!これがジュカが永遠と言う物に向き合うやり方なのか?』 | ||
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+ | ウォーロード・ケイバーはこの悪夢の中で彼自身の一面を自覚していた。彼女は彼の爬虫類の目の中に気も狂わせんばかりの苦悶を見出した。雄叫びを上げ、彼はダーシャの腹の奥深くへと剣を押し込んだ。すると彼女の体はよろめいた。彼女の視界が徐々に薄れていった。そして刃は彼女の体から離れていった。 | ||
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+ | 痛み、炎、そして煙からやって来る毒気は時間をゆっくりと引きずって行った。彼女はそのジュカの足元に石の橋が崩れているのを見た。彼は燃盛る炎の中に落ちないように、バランスを取る為に武器を振り回していた。 | ||
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+ | 彼女の心の中で声がした。これがミーアが永遠と言う物に向き合うやり方なのか? | ||
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+ | 不思議な事に、彼女は自分の手がケイバーに届いているのを見た。彼女は彼の手首を掴み、彼も又彼女の手首を握っていた。彼の体重はもう少しで彼女を橋から引きずり落としそうであったが、自らの体力を振り絞りながら彼女は彼を飢えた炎から引き上げた。そして、彼女は熱の渦の中に倒れ込んだ。彼女はウォーロードが彼の腕に彼女を抱きかかえ、橋の終わりにある塔へと走っているように感じていた。そこで彼らは崩れた石を背に跪いた。 | ||
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+ | 『ジュカは名誉と共に生きるのだ。』彼は唸るように言った。 | ||
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+ | 『ともかく、生きている事を確認しようじゃないか。』彼女の指先は血まみれだった。塔の屋根の埃や煤の中で、彼女は明滅するルーンを印した。先祖への祈りで、彼女はその呪文を発動した。薄暗く冷涼とした中で、光が彼らを包んでいった。 | ||
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+ | 彼らは深い闇の中に出た。洞窟の硬い壁から音が木霊してやって来る。ダーシャは幾夜か前に彼らがデュエルをしたのと同じ洞窟を探す為に、魔法の明かりをつけた。ちょっとした視線のやり取りで彼らには十分だった。すぐに彼女は彼らの傷を治癒し、そして彼らは洞窟の遥か向こうにある入り口目指して走った。急な傾斜地で、彼らは師アドラナスがどれ程の被害を与えたのかがわかってきた。 | ||
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+ | 谷は山の端にまで炎が噴き出す炎の椀であった。煙が、大火が景観全体を焼き尽くそうとしている隆起線の向こうから上がった。 | ||
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+ | 都市の中、或いは山腹にいた人は誰一人として生き残る事は無かった。雄々しく、両種族は他の場所で生き残った極少数の軍勢を召集した。この状況で最良の環境を得たとしても、生き残っていくのは難しいであろう。そして、冬の致命的な霜が数週間、或いは数日先に忍び寄ってきていた。 | ||
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+ | 静寂の中で、彼らは谷から、想像を絶した墓の巨大な祈念碑の様な、渦を巻く煙の柱を見つめていた。 | ||
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+ | 洞窟の中で、彼らは今にもダーシャを飲み込もうとする巨大な捕食者を発見した。それは出血が激しく弱っており、その傷から死に絶え絶えであった。協力して彼らはそれを仕留めた。その肉は火が収まるまでの間、彼らに栄養を補給する事になるであろう。 | ||
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+ | 二日後、彼らは再び洞窟を離れた。彼らは並んで暗黒の谷を注意深く見下ろした。かつて強固なジュカの要塞の壁であった石の山を除いて、今では殆ど残っている物はなかった。既に人間達は瓦礫を掘り起こし始めていた。スカベンジャーガーゴイル(Scavenger gargoyle)が冷たく、灰色の空を旋回していた。ダーシャは二つの種族の黒焦げになった死体に彼らが何をするのか、想像したくなかった。 | ||
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+ | ウォーロード・ケイバーの不興の度合いは深刻だった。彼は反抗的なプライドを以って顎を上げた。『肉体は消え行くとも、名誉は永遠なのだ。ジュカは歴史にその存在を刻んだのだ。』 | ||
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+ | ダーシャは何も言わなかったが、彼女の思考は安息を取る事はなかった。師アドラナスはかつて彼女にこう言った。智慧は変化の必然性を重んじる。しかし、今に至ってさえ、彼女は彼の言葉を拒否した。ミーアは輪廻転生の真理の上に精神的な支えを築いてきた。ダーシャは人々が再び現れるであろう事を解っていた。彼らの姿は奇妙かもしれないが、魂は消え行く事はない。彼らはいつも前を見ている事であろう。しかし、彼らは背後に横たわっているものを決して恐れないに違いない。 | ||
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+ | それが智慧の本質なのか、と彼女は疑った。その教訓はとてつもない犠牲を生んだが、もしかしたら先祖達自身もこの運命の道連れだったのかもしれない。彼女の考えでは彼らの動機までは判断がつかなかった。彼女はただ前方を見遣り、決して二度と恐れる事はないであろう。 | ||
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+ | 偉大さは時間により泡沫へと帰すが、栄光は忘れられる事は無い。古き時代の風は、とても静かに過去を歌う。 | ||
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Latest revision as of 09:31, 31 May 2017
Note: This is part of an overall story titled 'A Tale of Revenge' which was written to introduce the Lord Blackthorn's Revenge expansion.
- A Tale of Revenge
- Chapter 1: Beginnings
- Chapter 2: The Challenge
- Chapter 3: Clash in the Darkness
- Chapter 4: The Beast
- Chapter 5: Revenge
- Chapter 6: Inferno
- Chapter 7: Change
- Chapter 8: The Watcher
The explosion shook the fortress and hurled Dasha to the floor. The Jukan warriors around her toppled in a clatter of armor and spears. She regained her bearings and glanced about the room. The stone walls had cracked. The floor shifted. The fortress verged on collapse.
Master Adranath’s ritual had begun. The demise of the Juka and Meer was at hand, unless Dasha and Kabur acted quickly.
She rose to her knees and barked, “Exodus! Do something to give us time, sorcerer!” From her fingertips leapt a spell that illuminated the shadowy alcove, but the Juka’s mysterious lord was not there. He had left behind a curious altar or pedestal, studded with flickering gemstones and inset with silver, geometric patterns. She muttered, “Where is your revered master, Kabur, in the face of danger?”
The warlord growled, “The Juka do not hide behind wizards. We fight with our own hands!” Then he charged through a doorway. Dasha followed him. They emerged atop the high wall at the front of the massive fortress. From this vantage they saw the Jukan city spread around them, devastated by the earthquakes of the morning’s battle. Chaotic melee poured blood through the streets. And a new terror began to engulf the wide valley. Several dozen Meer elders formed a ring around the fortress, shining fiercely in the thick of a magic spell. The northern point of the circle was occupied by Master Adranath himself. At his gesture great rings of fire rippled out from the elders, blazing through the city in a brilliant conflagration. Dasha threw up an arm to block the heat from her face. The fortress rocked at the hammer impact of the flames, which sprayed and tossed like a hellish ocean wave. Then black smoke swallowed everything and Dasha pulled away from the edge.
Her heart slammed painfully. Exodus had been right. Adranath was conducting the slaughter of everyone in the valley, both Juka and Meer. The holocaust pounded the city in relentless surges. So terrible was the heat that her fur began to singe. She knew it was already too late to save the countless thousands trapped on the ground. Her head swam in despair. Ancestors, do not forsake us! We do not deserve this end!
From out of the smoke reached a powerful hand. It plucked her into the air and held her there. She saw Warlord Kabur’s green face, twisted with a terrible rage. “My people!” he screamed. “What have you done? By the Great Mother, you have killed us all!”
She saw Kabur’s face, the face of the man who had organized the destruction of the Meers’ home forest. He was a hapless pawn of Exodus, perhaps, but he was guilty nonetheless. His naivete had initiated this war. He owned responsibility as much as Adranath. Her horror turned into a blast of anger and she howled as she kicked him in the chest. He let go of her, then tumbled off the wall.
She peered over the edge. He had not dropped into the inferno, but had landed on a narrow, stone bridge that connected the fortress to a freestanding tower. He sprang to his feet and hurled his spear. She leapt aside with a margin of inches. But when her feet touched down again, the wall vibrated at the crash of Adranath’s spell. Large blocks of stone fell free. Dasha careened through the air and landed beside Kabur. The warlord unsheathed a heavy sword and lunged at her.
Blind fury drove her now. To her perception Kabur’s blade moved like molasses. She dodged it and smashed blow after blow on his injured body. The warlord staggered but she did not stop. With each strike the fortress shook, the flames roared, the smoke clogged her aching lungs. Then Kabur’s sword found a gap in her defense. The point shoved into her belly. But the pain meant nothing to her. To his smoky form she bellowed, “Your gullibility has ruined us! Is this how the Juka face eternity?”
Warlord Kabur knew his own part in this nightmare. She could see the mad anguish in his reptilian eyes. With a scream he pushed the sword deeper inside Dasha’s abdomen. For an instant her body faltered. Her eyesight flickered. Then the blade was gone from inside her.
The miasma of pain and fire and smoke made time drag slowly. She saw the stone bridge crumble under the Juka’s feet. He flailed his arms for balance as he dropped into the flaming air.
A voice in her mind said, Is this how the Meer face eternity?
With strange detachment she watched her hand reach for Kabur. She grabbed his wrist and he gripped hers. His great weight almost jerked her off the bridge, but she pulled him up from the hungry flames as her own strength faded. Then she collapsed in a whorl of heat. She felt the warlord hoist her in his arms and run to the tower at the end of the bridge. There they knelt behind a fallen stone.
“The Juka live with honor,” he growled.
“Let’s make sure that we live at all.” Her fingertips were bloody. In the dust and soot of the tower roof she inscribed a blink rune. With a prayer to the ancestors she activated the spell. Light blanketed them, pale and cool.
They appeared in heavy darkness. Sounds echoed from the hard walls of a cavern. Dasha lit a magic glow to reveal the same cave in which they had conducted their duel several nights earlier. A single glance was enough to agree them. Quickly she healed the worst of their wounds, then they ran for the distant mouth of the cave. On a high slope they emerged to see what damage Master Adranath had done.
The valley was a bowl of flame that slopped over the mountainous edges. Smoke rose from beyond the ridgeline where the inferno was proceeding across the landscape.
No one had survived in the city or on the mountainsides. So proudly had each race mustered its forces that few Juka or Meer remained alive in other places. In the best of circumstances, survival would have been difficult now. And the deadly frosts of winter lurked weeks or days away.
In silence they watched the column of smoke billow from the valley, like a giant monument on an unthinkable grave.
Inside the cave they found the huge predator that had nearly eaten Dasha. It was close to death from its wounds, weak from blood loss. Together they killed it. The meat would sustain them until the fires diminished.
Two days later they left the cavern again. Side by side they gazed down at the black valley. Little remained now but piles of stone that had once been the walls of the great Jukan fortress. Already the humans had begun to pick through the rubble. Scavenger gargoyles circled the cold, greying sky. Dasha did not want to think what they might do with the charred remains of two fallen races.
Warlord Kabur’s frown was heavy. He lifted his chin with defiant pride. “Though the flesh passes, honor is eternal. The Juka carved their place in history.”
Dasha said nothing, but her thoughts would not rest. Master Adranath had once told her, Wisdom accepts the inevitability of change. But even now she refused to believe him. The Meer had founded their spiritual beliefs on the truth of reincarnation. Dasha knew her people would appear again. Their form might be strange but their spirit would not die. They would always look ahead, but they must never fear what lies behind them.
That, she suspected, was the real essence of wisdom. The lesson had come at a horrible price, but perhaps the ancestors themselves were a party to this fate. Hers was not to judge their motives. She would simply look ahead and never fear again.
Time tramples greatness to rubble and dust, but glory is never forgotten. Elder winds sing of the past to those calm enough to listen.
その爆発は要塞を揺るがし、ダーシャ(Dasha)を床へ叩きつけた。彼女の周りのジュカ(Juka)兵士も槍と鎧とをぶつける音を立てながらふらついた。彼女は自分の置かれている状況を捉え直し、部屋全体を一目見た。石の壁はひび割れていた。床が揺れ動いた。要塞は今にも崩壊しようとしていた。
師アドラナス(Adranath)の儀式が始まったのだ。ダーシャとケイバー(Kabur)が素早く行動をしない限り、ジュカとミーア(Meer)の滅亡は目の前にやって来ていた。
彼女は膝立ちになり怒鳴った。『エクソダス(Exodus)!魔術師め、姿を見せろ!』彼女の指先から、暗く奥まった小室を照らし出す呪文が放たれたが、ジュカの謎めいた支配者はそこにはいなかった。彼は、幾何学的な配列の明滅するジェムストーンと銀のはめ込みをちりばめた奇妙な祭壇か台座か見当のつかない物を残して立ち去っていた。彼女は呟いた。『危機を前にして、お前の尊敬する主人は何処なのだ、ケイバーよ。』
そのウォーロードは怒りを込めて言った。『ジュカは魔術師の後ろに隠れたりはせぬ。我々は自分自身の手で以って戦うのだ!』そして、彼は出入り口を通りぬけるべく突撃した。ダーシャは彼の後を追った。彼らは強固な要塞の前部にある高い壁の頂上にやって来た。その眺望を得て、彼らは今朝の戦いの地震で荒廃させられた目の前に広がるジュカの都市を見渡した。無秩序な乱戦は通り中に血を浴びせた。そして、新たな恐怖が谷全体を飲み込もうとしていた。幾組かのミーアの長老達が、まさに魔法詠唱の最中で激しく光り輝きながら要塞の周りにリングを形作っていた。その輪の北の地点は師アドラナス自身によって占められていた。彼の合図で、長老達から火の巨大な輪が波紋を形作る様に放たれ、光り輝く大火の中の都市を燃やし尽くしていった。彼女は顔に受ける熱を防ぐ為に腕を上げた。要塞は炎の撃ちつける衝撃に揺れた。そしてそれは地獄の海の波の様に飛沫をあげ、上下に振動した。すると黒い煙が全てを飲み込み、ダーシャは壁の端から離れた。
彼女の心は痛々しく閉じた。エクソダスは正しかった。アドラナスは谷に於いてジュカとミーアを問わず全ての民の虐殺を導いたのだ。その大虐殺は情け容赦ない大波の中で都市を粉々にしていった。とても酷い熱さだったので彼女の毛皮も焦げ始めた。彼女は地面で身動きの取れない数え切れない程の人を救うのには既に遅すぎると分かっていた。頭の中が絶望で一杯になった。ご先祖様、私達を見捨てないでください!私達はこの様な終焉を迎えたくはありません!
力強い手が煙の外から伸びてきた。それは彼女を煙の外へと引き抜き、そこで彼女をしっかりと掴んでいた。彼女は激しい怒りにねじれたウォーロード・ケイバーの緑色の顔を目にした。『我が民よ!』彼は叫んだ。『お前達は何をしたのだ?偉大な母により、お前達は我々全てを殺したと言うのか!』
彼女はケイバーの顔を見つめた。その顔はミーアの故郷である森の破壊を組織した男の顔であった。彼は不幸にもエクソダスに利用されている者だったのであろうが、それでもやはり彼には罪があった。彼の単純さがこの戦争を引き起こしたのだ。彼はアドラナスと同じ位の責任があった。彼女の恐怖は怒りの爆発へと変わり、彼女は彼の胸部を蹴りつけながらわめいた。彼は彼女を放し、壁から転落した。
彼女はその端の向こうを凝視した。彼は大火の中へと落ちてはいなかったが、要塞と独立した塔とを結びつける狭い石の橋の上に着地していた。彼はさっと立ち上がり、槍を投げつけた。彼女は数インチの差でそれを避けた。しかし、彼女の足が再び地に着いたとき、その壁はアドラナスの呪文の衝撃により震動した。大きな石の塊が秩序無く落下してくる。ダーシャは空を傾きながら走り、ケイバーの隣に着地した。そのウォーロードは重たい剣を抜き、彼女に向かって突進して来た。
闇雲な怒りがその時彼女を駆り立てていた。ケイバーの剣の振りは糖蜜のようにのろい物に彼女には直感的に感じられた。彼女はそれを素早くかわし、彼の傷ついた体へ次々に攻撃を叩きこんでいった。そのウォーロードはふらついていたが、それでも彼女は攻撃を止めなかった。要塞が揺れる衝撃の度に炎は勢いを増し、煙は肺に痛みを感じさせながら彼女の呼吸を妨げた。ケイバーの剣が彼女の防御に一点の隙を見つけた。剣の先端が彼女の腹に押し込まれた。しかし、その痛みは彼女にとって何でもない物であった。彼の煙で煤けた姿に向かって彼女は怒鳴った。『お前の馬鹿さ加減が私達を滅ぼしたのだ!これがジュカが永遠と言う物に向き合うやり方なのか?』
ウォーロード・ケイバーはこの悪夢の中で彼自身の一面を自覚していた。彼女は彼の爬虫類の目の中に気も狂わせんばかりの苦悶を見出した。雄叫びを上げ、彼はダーシャの腹の奥深くへと剣を押し込んだ。すると彼女の体はよろめいた。彼女の視界が徐々に薄れていった。そして刃は彼女の体から離れていった。
痛み、炎、そして煙からやって来る毒気は時間をゆっくりと引きずって行った。彼女はそのジュカの足元に石の橋が崩れているのを見た。彼は燃盛る炎の中に落ちないように、バランスを取る為に武器を振り回していた。
彼女の心の中で声がした。これがミーアが永遠と言う物に向き合うやり方なのか?
不思議な事に、彼女は自分の手がケイバーに届いているのを見た。彼女は彼の手首を掴み、彼も又彼女の手首を握っていた。彼の体重はもう少しで彼女を橋から引きずり落としそうであったが、自らの体力を振り絞りながら彼女は彼を飢えた炎から引き上げた。そして、彼女は熱の渦の中に倒れ込んだ。彼女はウォーロードが彼の腕に彼女を抱きかかえ、橋の終わりにある塔へと走っているように感じていた。そこで彼らは崩れた石を背に跪いた。
『ジュカは名誉と共に生きるのだ。』彼は唸るように言った。
『ともかく、生きている事を確認しようじゃないか。』彼女の指先は血まみれだった。塔の屋根の埃や煤の中で、彼女は明滅するルーンを印した。先祖への祈りで、彼女はその呪文を発動した。薄暗く冷涼とした中で、光が彼らを包んでいった。
彼らは深い闇の中に出た。洞窟の硬い壁から音が木霊してやって来る。ダーシャは幾夜か前に彼らがデュエルをしたのと同じ洞窟を探す為に、魔法の明かりをつけた。ちょっとした視線のやり取りで彼らには十分だった。すぐに彼女は彼らの傷を治癒し、そして彼らは洞窟の遥か向こうにある入り口目指して走った。急な傾斜地で、彼らは師アドラナスがどれ程の被害を与えたのかがわかってきた。
谷は山の端にまで炎が噴き出す炎の椀であった。煙が、大火が景観全体を焼き尽くそうとしている隆起線の向こうから上がった。
都市の中、或いは山腹にいた人は誰一人として生き残る事は無かった。雄々しく、両種族は他の場所で生き残った極少数の軍勢を召集した。この状況で最良の環境を得たとしても、生き残っていくのは難しいであろう。そして、冬の致命的な霜が数週間、或いは数日先に忍び寄ってきていた。
静寂の中で、彼らは谷から、想像を絶した墓の巨大な祈念碑の様な、渦を巻く煙の柱を見つめていた。
洞窟の中で、彼らは今にもダーシャを飲み込もうとする巨大な捕食者を発見した。それは出血が激しく弱っており、その傷から死に絶え絶えであった。協力して彼らはそれを仕留めた。その肉は火が収まるまでの間、彼らに栄養を補給する事になるであろう。
二日後、彼らは再び洞窟を離れた。彼らは並んで暗黒の谷を注意深く見下ろした。かつて強固なジュカの要塞の壁であった石の山を除いて、今では殆ど残っている物はなかった。既に人間達は瓦礫を掘り起こし始めていた。スカベンジャーガーゴイル(Scavenger gargoyle)が冷たく、灰色の空を旋回していた。ダーシャは二つの種族の黒焦げになった死体に彼らが何をするのか、想像したくなかった。
ウォーロード・ケイバーの不興の度合いは深刻だった。彼は反抗的なプライドを以って顎を上げた。『肉体は消え行くとも、名誉は永遠なのだ。ジュカは歴史にその存在を刻んだのだ。』
ダーシャは何も言わなかったが、彼女の思考は安息を取る事はなかった。師アドラナスはかつて彼女にこう言った。智慧は変化の必然性を重んじる。しかし、今に至ってさえ、彼女は彼の言葉を拒否した。ミーアは輪廻転生の真理の上に精神的な支えを築いてきた。ダーシャは人々が再び現れるであろう事を解っていた。彼らの姿は奇妙かもしれないが、魂は消え行く事はない。彼らはいつも前を見ている事であろう。しかし、彼らは背後に横たわっているものを決して恐れないに違いない。
それが智慧の本質なのか、と彼女は疑った。その教訓はとてつもない犠牲を生んだが、もしかしたら先祖達自身もこの運命の道連れだったのかもしれない。彼女の考えでは彼らの動機までは判断がつかなかった。彼女はただ前方を見遣り、決して二度と恐れる事はないであろう。
偉大さは時間により泡沫へと帰すが、栄光は忘れられる事は無い。古き時代の風は、とても静かに過去を歌う。