Difference between revisions of "UO:2015-09-21: Trading Pieces"
BrianFreud (talk | contribs) (Created page with "{{InfoHeader UOFiction | title = Trading Pieces | author = EM Malachi | type = Official Fiction }}<div class="uofiction"> Several Hundred Years Ago... As Mondain’s gaunt f...") |
BrianFreud (talk | contribs) m |
||
Line 1: | Line 1: | ||
{{InfoHeader UOFiction | {{InfoHeader UOFiction | ||
| title = Trading Pieces | | title = Trading Pieces | ||
+ | | translation = ・駆け引き | ||
| author = EM Malachi | | author = EM Malachi | ||
| type = Official Fiction | | type = Official Fiction | ||
Line 58: | Line 59: | ||
Hawkwind’s endgame had started. | Hawkwind’s endgame had started. | ||
+ | |||
+ | ==Japanese version== | ||
+ | |||
+ | |||
+ | 数百年前…… | ||
+ | モンディンの骨ばった手がネックレスの留め金をとめると、黒い宝石のひんやりとした感触がミナックスの喉に伝わった。それは部屋のなかのすべての闇を一身に集めているかのようだった。魔法使いは一切の感情を見せることはなかったし、ミナックスは折々のめずらしい贈り物には役割があることを心得ていた。彼女は師であるモンディンに顔を向けると言った。 | ||
+ | 「何がお望みでございましょう?」 | ||
+ | モンディンはよく知られた世界の地図を開いて言った。 | ||
+ | 「お前はブリテインの都へ行くのだ。ブリタニアの王が首都へ帰還したとき、お前はその石の力でもって彼を殺害するのだ。彼が死ねば彼の同胞もすべて死に絶える。」 | ||
+ | 「何者かがシャドウガードへ到達する術を得たという噂はどうなりましたか?」 | ||
+ | モンディンは憮然として言い放った。 | ||
+ | 「ブリタニアのヒーロー気取りなどただの人間で我が計画の脅威ですらない。言われた通りにしろ。お前がここにいたからと言って何の違いがあるのだ?」 | ||
+ | 数か月前…… | ||
+ | ブラックソーン王はチェスボード上の対局を慎重に吟味していた。彼のクイーンは敵の手に落ち、残されたわずかな手の内も角に追いつめられて睨み合うばかりとなっていた。残された一手は双方に損失をもたらすが、彼が間違えさえしなければ結局は白が敗れることは明白であった。ブラックソーン王は黒のルークを動かすと小さなスクロールにその一手を書き込んだ。彼は対局を丹念に調べる作業に戻った。 | ||
+ | 声が彼の集中を遮った。 | ||
+ | 「ガーゴイルの王女はチェスがとてもお気に召したようだ。」 | ||
+ | ブラックソーン王は頷くとタイムロードに顔を向けた。 | ||
+ | 「ええ。シーアよ、彼女はいつの日か素晴らしい統治者となるでしょう。けれどあなたがここにいらした理由は彼女ではない。あなたが最後にブリテインの王と話された時は、粉々になっているシャードを一つにするよう依頼された。等しく重要なことのために私の書斎に見えられたのではありませんか?」 | ||
+ | 「そう、ミナックスだ。魔女は過去を変えたいがために危険で不安定な魔法を操っている。私にはブリタニアの人々の助けが必要だ。このシャードと、その他すべてのシャードにおいて。彼女を止めるために。」 | ||
+ | 「説明としては十分です。そして私はアノンの背信が更なる結末をもたらすであろうことも予測しています。私とあなたの協議は以前は物別れに終わったが、あなたが民から助力を得ようとするのを私が咎めないことをあなたはよく知っているはずだ。だからあらためてお聞きするのです。なぜここに?」 | ||
+ | 「私の作戦は様々な駒があってはじめて動く。」 | ||
+ | ブラックソーン王はチェスボードをちらりと見やると言った。 | ||
+ | 「私にどのような駒になれと?」 | ||
+ | 「キング・イン・チェック(王手のかかったキング)だ。」 | ||
+ | 現在…… | ||
+ | リコールの呪文はムーングロウの魔法使いであるマライアを、ホーリーシティの小さな石造りの家の傍に立たせた。家の中に入る前にマライアは心を落ち着かせようとしばし間を置いた。しわくちゃのガーゴイルが石のベンチから彼女に頷いて見せた。彼の羽は曲がって弱々しく、彼の角の先端は奇妙なつやを帯びていた。彼は彼女が会った中で一番年老いたガーゴイルだった。 | ||
+ | 「私にも昔は夢があったのさ。マライア。ナクサティラーだ。」 | ||
+ | マライアはこの伝説のガーゴイルの預言者に、頭を少し動かしてお辞儀をした。 | ||
+ | 「タイムロードが私たちに何をしてほしいのかがよくわからなくて、たくさんお聞きしたいことがあるのです。」 | ||
+ | 「与えられた時間はわずかだが、できるだけ疑問に答えよう。我が女王は魔女ミナックスを足止めすべく、あなたの王、ブラックソーンに加わったが、あなたは自分の任務を完了すべく一刻も早く動かねばならない。」 | ||
+ | 「私の任務とは何なのです?」 | ||
+ | 「ホークウィンドはすべてのシャードで失われ、忘れ去られてしまった古の呪文を必要としているのだ。あなたはこれを見つけ出す者たちを導かねばならない。」 | ||
+ | 「どこから探し始めればいいのです?」 | ||
+ | 「これをあげよう。このアーティファクトはホーリーシティよりも古く、遠い昔にガーゴイルに託されたものだ。」 | ||
+ | 彼は傍らに置いてあった包みをほどき、現れては消えるように明滅する小さな黒いキューブを取り出した。 | ||
+ | 「これはボルテックス・キューブ! あの愚か者のクロノスとあいつが作ったブラックロック発見装置のせいで何年も前に失われてしまったはず! なぜこんなことが?」 | ||
+ | 「あらゆるものはそれぞれ世界の対極にあり、切り離されている。このようにして時に彼らは二つ以上の影を持つのだよ。」 | ||
+ | マライアはしばし考え込むと言った。 | ||
+ | 「それは私の任務とどう関係があるのですか?」 | ||
+ | 「ブリタニアの冒険者たちは智の経典コデックスを読むためにそれが必要になる。あなたは彼らにその方法を教えるのだ。」 | ||
+ | ホークウィンドのエンド・ゲーム(チェスの終盤戦)が始まった。 | ||
+ | |||
+ | References: | ||
+ | * https://www.facebook.com/broadsword.hirota.ken/posts/1647037385572206 | ||
</div>{{InfoFooter UOFiction| type = Official Fiction}} | </div>{{InfoFooter UOFiction| type = Official Fiction}} |
Revision as of 11:13, 3 June 2017
Trading Pieces / ・駆け引き
Author: EM Malachi | Published: September 21, 2015 |
Several Hundred Years Ago...
As Mondain’s gaunt fingers closed the clasp, the dark gem in the necklace felt cold against Minax’s throat. It seemed to draw all of the room’s shadows toward it. The wizard never showed sentiment, and Minax had learned that each rare gift held a purpose. She turned to face her mentor and lover, “What do you require of me?”
Mondain unrolled a map of the known world, “You will go to the city of Britain. When Britannia’s king retreats to his capital, you will kill him with the power of this stone. Upon his death, the other opposition will also die.”
“What of the rumors that the Stranger has found a way to Shadowguard?”
Mondain looked insulted. “Britannia’s hero is a mere mortal and no threat to any of my plans. Do as you’re told.”
<I>Several months ago...</I>
King Blackthorn examined the chess board carefully. His queen had just fallen, and the few remaining pieces were locked in a standoff in the corner. The remaining moves would result in losses for both sides, but it was clear that white would eventually lose, if he made no mistakes. Blackthorn moved the black rook and recorded his move on a small scroll. He returned to scrutinizing the board.
A voice broke his concentration, “The gargoyle princess is taking to chess very well.”
Blackthorn nodded as he turned to face the Time Lord. “Yes, Seer, she will make an excellent ruler someday, but I doubt that is why you are here. When last you spoke to a king in Britain, you asked him to mend the Shattering. I assume something equally important brings you to my study?”
“Yes, Minax. The Enchantress is manipulating a dangerous and unstable magic because she wishes to change the past. I need the help of the people of Britannia, on this shard and all others, to stop her.”
“That explains the omens, and I suspected that Anon’s betrayal would have additional consequences. While we have disagreed before, you must have known that I would not hinder your efforts to get help from my subjects. So again I ask: why you are here?”
“My strategy requires a variety of pieces and moves.”
Blackthorn glanced down at the chessboard, “What piece would you have me play?”
“A King in Check”
<I>Now...</I>
The Recall spell deposited Mariah, Mage of Moonglow, beside a small stone house in the Holy City. She waited a moment to collect her wits before stepping inside. A wrinkled gargoyle nodded to her from a stone bench. His wings were curled and frail, and the tips of his horns had a strange sheen to them. He was the oldest gargoyle she had ever met. “I had the dream too, Mariah. I am called Naxatilor.”
Mariah bowed her head slightly at the legendary gargoyle seer. “The Time Lord was vague in what he needed from us, and I have many questions.”
“I will answer some of them in the short time we have. My Queen has joined your King Blackthorn in an effort to stall Minax, but you must move quickly to complete your task.”
“And what is my task?”
“Hawkwind needs an ancient spell, lost and forgotten on all the shards. You will guide those who find it.”
“Any suggestions on where to start looking?”
“I am to give you this. This artifact is older than the Holy City, entrusted to the gargoyles long ago.” He unwrapped the object beside him to reveal a small black cube that seemed to flicker in and out of being.
“The Vortex Cube! But it was destroyed years ago by that fool Kronos and his Blackrock Detector! How is it possible?”
“Some things are both part of the world and separate from it. As such, they may cast more than one shadow.”
Mariah considered this for a moment, “How does this relate to my task?”
“The Heroes of Britannia will need this to reach the Codex. You will need to teach them how to do so.”
Hawkwind’s endgame had started.
Japanese version
数百年前…… モンディンの骨ばった手がネックレスの留め金をとめると、黒い宝石のひんやりとした感触がミナックスの喉に伝わった。それは部屋のなかのすべての闇を一身に集めているかのようだった。魔法使いは一切の感情を見せることはなかったし、ミナックスは折々のめずらしい贈り物には役割があることを心得ていた。彼女は師であるモンディンに顔を向けると言った。 「何がお望みでございましょう?」 モンディンはよく知られた世界の地図を開いて言った。 「お前はブリテインの都へ行くのだ。ブリタニアの王が首都へ帰還したとき、お前はその石の力でもって彼を殺害するのだ。彼が死ねば彼の同胞もすべて死に絶える。」 「何者かがシャドウガードへ到達する術を得たという噂はどうなりましたか?」 モンディンは憮然として言い放った。 「ブリタニアのヒーロー気取りなどただの人間で我が計画の脅威ですらない。言われた通りにしろ。お前がここにいたからと言って何の違いがあるのだ?」 数か月前…… ブラックソーン王はチェスボード上の対局を慎重に吟味していた。彼のクイーンは敵の手に落ち、残されたわずかな手の内も角に追いつめられて睨み合うばかりとなっていた。残された一手は双方に損失をもたらすが、彼が間違えさえしなければ結局は白が敗れることは明白であった。ブラックソーン王は黒のルークを動かすと小さなスクロールにその一手を書き込んだ。彼は対局を丹念に調べる作業に戻った。 声が彼の集中を遮った。 「ガーゴイルの王女はチェスがとてもお気に召したようだ。」 ブラックソーン王は頷くとタイムロードに顔を向けた。 「ええ。シーアよ、彼女はいつの日か素晴らしい統治者となるでしょう。けれどあなたがここにいらした理由は彼女ではない。あなたが最後にブリテインの王と話された時は、粉々になっているシャードを一つにするよう依頼された。等しく重要なことのために私の書斎に見えられたのではありませんか?」 「そう、ミナックスだ。魔女は過去を変えたいがために危険で不安定な魔法を操っている。私にはブリタニアの人々の助けが必要だ。このシャードと、その他すべてのシャードにおいて。彼女を止めるために。」 「説明としては十分です。そして私はアノンの背信が更なる結末をもたらすであろうことも予測しています。私とあなたの協議は以前は物別れに終わったが、あなたが民から助力を得ようとするのを私が咎めないことをあなたはよく知っているはずだ。だからあらためてお聞きするのです。なぜここに?」 「私の作戦は様々な駒があってはじめて動く。」 ブラックソーン王はチェスボードをちらりと見やると言った。 「私にどのような駒になれと?」 「キング・イン・チェック(王手のかかったキング)だ。」 現在…… リコールの呪文はムーングロウの魔法使いであるマライアを、ホーリーシティの小さな石造りの家の傍に立たせた。家の中に入る前にマライアは心を落ち着かせようとしばし間を置いた。しわくちゃのガーゴイルが石のベンチから彼女に頷いて見せた。彼の羽は曲がって弱々しく、彼の角の先端は奇妙なつやを帯びていた。彼は彼女が会った中で一番年老いたガーゴイルだった。 「私にも昔は夢があったのさ。マライア。ナクサティラーだ。」 マライアはこの伝説のガーゴイルの預言者に、頭を少し動かしてお辞儀をした。 「タイムロードが私たちに何をしてほしいのかがよくわからなくて、たくさんお聞きしたいことがあるのです。」 「与えられた時間はわずかだが、できるだけ疑問に答えよう。我が女王は魔女ミナックスを足止めすべく、あなたの王、ブラックソーンに加わったが、あなたは自分の任務を完了すべく一刻も早く動かねばならない。」 「私の任務とは何なのです?」 「ホークウィンドはすべてのシャードで失われ、忘れ去られてしまった古の呪文を必要としているのだ。あなたはこれを見つけ出す者たちを導かねばならない。」 「どこから探し始めればいいのです?」 「これをあげよう。このアーティファクトはホーリーシティよりも古く、遠い昔にガーゴイルに託されたものだ。」 彼は傍らに置いてあった包みをほどき、現れては消えるように明滅する小さな黒いキューブを取り出した。 「これはボルテックス・キューブ! あの愚か者のクロノスとあいつが作ったブラックロック発見装置のせいで何年も前に失われてしまったはず! なぜこんなことが?」 「あらゆるものはそれぞれ世界の対極にあり、切り離されている。このようにして時に彼らは二つ以上の影を持つのだよ。」 マライアはしばし考え込むと言った。 「それは私の任務とどう関係があるのですか?」 「ブリタニアの冒険者たちは智の経典コデックスを読むためにそれが必要になる。あなたは彼らにその方法を教えるのだ。」 ホークウィンドのエンド・ゲーム(チェスの終盤戦)が始まった。
References: