Difference between revisions of "UO:2006-12-01: Into the Mother Lode"

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ヴィンセントは戦場を迂回してブラックロックが地表に顔を出しているところへ向かったが、その少し手前で足元にある“何か”に気づいた。
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と彼はつぶやいた。ヴィンセントは砂につるはしを突き立て、クロノス(Kronos)が持ち帰ったものと同じぐらい大きなブラックロックの塊を掘り出した。顔を上げると、ピーターとファウスタスが用心深くエレメンタルと対峙しつつ、その重い一撃から身をかわしていた。ピーターの斧は魔物の胸の部分のブラックロックに食い込み、ファウスタスのウォーハンマーは振られるたびにブラックロックの破片を飛ばしていた。
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ヴィンセントは足元のやわらかい砂を掘り続け、マーセルがヴィンセントを呼ぶまでにさらにいくつかの塊を掘り出すことに成功した。
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「ヴィンセント、こっちへ来い! 追加で魔物が来てるぞ!」
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ヴィンセントは恥じることなく、アーチャーたちの後ろに逃げ隠れた。彼らの肩越しに自分のいたところを見てみると、2匹のおぞましい魔物が見えた。夜のように黒く……1匹は恐ろしいエナジーボルテックスのようであり、もう1匹はブラックロックが溶けて染み出したスライムのような魔物だった。
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「ピーター、ファウスタス! 急げ!」
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ピーターはその声を聞き、いま戦っている敵の向こうからさらに魔物が来ているのを見た。ピーターは身を翻すと、凄まじい速さでエレメンタルに向かって斧を振るった。魔物の足を叩き切って打ち倒すと、起き上がる前にその胸に刃を振り下ろした。
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ヴィンセントは、魔物が倒されたときにブラックロック同士を結びつけていたエネルギーが消失し、破片になるのを大きく開いた眼で見た。ヴィンセントはその素晴らしいブラックロックを集めるために走り出そうとしたが、ピーターが腕をつかんで軽率な行動を戒めた。
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「あぁ、冷えたエールと店の娘が待ちきれないぜ!」
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ファウスタスがため息をついた。一行はブラックロックの鉱脈から砂漠をくだり、パプアへと戻るべく歩みを進めていた。
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「そのとおりだな、兄弟」
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「無事に町に着ければ、万々歳さ」
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とファウスタスがやり返した。
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「しかし、あの戦いは忘れられねぇな」
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ファウスタスは一瞬立ち止まり、ピーターを横目で見た。
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「あの斧捌きはなかなかのもんだったぜ。ダブルストライクでエレメンタルを仕留めたんだろう?」
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「ああ」
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とピーターは返事をしたが、その声には驚きが混じっていた。
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「まさか、自分でもあんな技を繰り出せるとは思ってもみなかったよ。だが、あの魔物と戦ったのは……いい練習になったようだ」
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ヴィンセントは、顔をしかめながらブラックロックの塊を調べていた。
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「たぶん、魔物のせいでは……ないな。掘っているときにおかしな力を感じたんだ。一振りごとに、知識が深くなっていくような感じがした」
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「ブラックロックにはおかしな効果があるって言われてるだろ。その鉱脈なら、そんな効果があったって不思議じゃない」
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ファウスタスは肩をすくめた。
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「俺としては、惨たらしく死ぬかもしれないトレーニングより、もっとのんびりしたトレーニングのほうがいいな」
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ピーターが笑った。
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「さあ、いくぞお前たち! ムーングロウへ!」
  
 
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Latest revision as of 17:39, 31 May 2017


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Global Edition


Into the Mother Lode / 鉱脈の中に

Author: Anderson the Scribe Published: December 1, 2006



Bnn061205b.jpg

“That poncy mage was right… that’s a LOT of blackrock,” Vincent said, hefting his pick.

“And that’s a very LARGE elemental… I hope the mage is as rich as he is poncy,” Peter replied. He unslung his axe and rolled his shoulders. Turning to his companions, he said, “Marcel, thou hast the sharpest eyes – keep watch all around. Theo, Jaxon, flank the beast and wait to loose until we have its attention. Faustus, thou and I must make the kill.”

Faustus muttered something unintelligible. When Peter glared at him, he shrugged. “Come on, brother mine. ‘Tis as good a day to die as any.” With a roar, the fighters charged the blackrock elemental. The three archers waited until they were fully engaged, then sent arrows whistling over the fighters’ heads. Most of the missiles bounced off harmlessly, but some of them seemed to penetrate and bits of blackrock rolled from the creature’s head and shoulders.

Vincent circled wide, heading for the outcrop of blackrock. He was still several paces away when he saw something at his feet. “By the Virtues, it’s everywhere!” he muttered. He dug his pick in the sand, unearthing a large chuck of blackrock, as large as the one the mage Kronos had displayed. He glanced up. Peter and Faustus were circling the elemental warily, dodging its heavy blows. Peter’s axe seemed to be loosening the heavy stones that made up the creature’s torso, and Faustus’s war hammer blasted smaller bits off with every stroke. Vincent kept digging in the soft sand beneath his feet. He pulled up several more chunks before Marcel called to him.

“Vincent! To me! There are more creatures coming!”

Vincent didn’t hesitate a moment before fleeing behind the archers’ ranks. When he risked a look over his shoulder, he saw two hideous creatures, dark as the night – one a terrifying vortex of energy, one a misshapen blob that appeared to be the living essence of pollution. “Peter! Faustus! Hurry!”

Peter heard him and looked past his opponent at the approaching beasts. He turned and swung his axe at the elemental so fast he was able to sever its leg and sink the blade into its chest before it had time to react. Vincent watched wide-eyed as the creature slumped to the ground, separating into rubble as the energy that bound it together dissipated. He started to dash forward to gather some of the precious blackrock, but Peter grabbed his arm and pulled him into a headlong run.


“Oh, for a bottle of ale and a friendly barmaid…” Faustus sighed. The group had made it clear of the blackrock mother lode and was slogging through the desert on its way back to Papua.

“Amen, brother,” Peter said. “I will be happier by far when we’re safe in town.”

“Safely drunk, thou shoudst say,” Faustus retorted. “That was a fight I do not care to remember.” He paused and squinted at Peter. “It was a nice bit of axework, though. Didst thou use a Double Strike to kill the elemental?”

“I did,” Peter said, sounding slightly surprised. “I didn’t think I would be able to manage that technique for some time yet, but apparently fighting that creature was… instructive.”

Vincent frowned and peered at the chunk of blackrock he had been examining. “Perhaps not the creature… I felt a strange energy while I was digging – like every motion was slowed so I could understand it more deeply.” Vincent said. “Blackrock is said to have many strange effects... and the Mother Lode must be a very high concentration indeed.”

Faustus shrugged. “I for one prefer a slower training method, with less chance of a messy death.”

Peter laughed. “Come on, lads. To Moonglow!”


「あのなよなよした魔法使いは正しかったな……。ものすごい量のブラックロックだぜ」

そう言うと、ヴィンセント(Vincent)はつるはしを持ち上げた。

「それに、この手ごわいエレメンタルもな……。あの魔法使いがあんだけなよなよしてんのと同じぐらい、金持ちなことを願うよ」

ピーター(Peter)は斧をかつぎ、肩をぐるぐると回しながら返事をした。ピーターは仲間のほうを振り向いて言った。

「マーセル(Marcel)、お前が一番いい目をしてる。しっかり周りを見張ってろ。テオ(Theo)、ジャクソン(Jaxon)、魔物が俺たちに気づいたら挟み撃ちにするんだ。ファウスタス(Faustus)、お前と俺でそいつをやるぞ」

ファウスタスはぶつぶつとつぶやいた。ピーターがにらむと、ファウスタスは肩をすくめた。

「いくぞ、兄弟。今日は、死ぬにはいい日だ!」

雄叫びと共に、戦士たちはブラックロックエレメンタルに向かって突撃した。3人のアーチャーが戦士たちの突撃を待って射掛けると、矢は音を立てて戦士たちの頭上を越えていった。ほとんどの矢は傷ひとつつけられずに落ちたが、何本かはブラックロックエレメンタルの頭と肩に当たり、そのかけらを地上に撒き散らした。

ヴィンセントは戦場を迂回してブラックロックが地表に顔を出しているところへ向かったが、その少し手前で足元にある“何か”に気づいた。

	「マジかよ、ブラックロックだらけだぜ!」 

と彼はつぶやいた。ヴィンセントは砂につるはしを突き立て、クロノス(Kronos)が持ち帰ったものと同じぐらい大きなブラックロックの塊を掘り出した。顔を上げると、ピーターとファウスタスが用心深くエレメンタルと対峙しつつ、その重い一撃から身をかわしていた。ピーターの斧は魔物の胸の部分のブラックロックに食い込み、ファウスタスのウォーハンマーは振られるたびにブラックロックの破片を飛ばしていた。

ヴィンセントは足元のやわらかい砂を掘り続け、マーセルがヴィンセントを呼ぶまでにさらにいくつかの塊を掘り出すことに成功した。

「ヴィンセント、こっちへ来い! 追加で魔物が来てるぞ!」

ヴィンセントは恥じることなく、アーチャーたちの後ろに逃げ隠れた。彼らの肩越しに自分のいたところを見てみると、2匹のおぞましい魔物が見えた。夜のように黒く……1匹は恐ろしいエナジーボルテックスのようであり、もう1匹はブラックロックが溶けて染み出したスライムのような魔物だった。

「ピーター、ファウスタス! 急げ!」

ピーターはその声を聞き、いま戦っている敵の向こうからさらに魔物が来ているのを見た。ピーターは身を翻すと、凄まじい速さでエレメンタルに向かって斧を振るった。魔物の足を叩き切って打ち倒すと、起き上がる前にその胸に刃を振り下ろした。 ヴィンセントは、魔物が倒されたときにブラックロック同士を結びつけていたエネルギーが消失し、破片になるのを大きく開いた眼で見た。ヴィンセントはその素晴らしいブラックロックを集めるために走り出そうとしたが、ピーターが腕をつかんで軽率な行動を戒めた。


「あぁ、冷えたエールと店の娘が待ちきれないぜ!」

ファウスタスがため息をついた。一行はブラックロックの鉱脈から砂漠をくだり、パプアへと戻るべく歩みを進めていた。

「そのとおりだな、兄弟」

ピーターが言った。

「無事に町に着ければ、万々歳さ」 「無事に酒にありつければ、だろ?」

とファウスタスがやり返した。

「しかし、あの戦いは忘れられねぇな」

ファウスタスは一瞬立ち止まり、ピーターを横目で見た。

「あの斧捌きはなかなかのもんだったぜ。ダブルストライクでエレメンタルを仕留めたんだろう?」 「ああ」

とピーターは返事をしたが、その声には驚きが混じっていた。

「まさか、自分でもあんな技を繰り出せるとは思ってもみなかったよ。だが、あの魔物と戦ったのは……いい練習になったようだ」

ヴィンセントは、顔をしかめながらブラックロックの塊を調べていた。

「たぶん、魔物のせいでは……ないな。掘っているときにおかしな力を感じたんだ。一振りごとに、知識が深くなっていくような感じがした」 「ブラックロックにはおかしな効果があるって言われてるだろ。その鉱脈なら、そんな効果があったって不思議じゃない」

ファウスタスは肩をすくめた。

「俺としては、惨たらしく死ぬかもしれないトレーニングより、もっとのんびりしたトレーニングのほうがいいな」

ピーターが笑った。

「さあ、いくぞお前たち! ムーングロウへ!」