Difference between revisions of "UO:2001-11-01: Answers"

(Created page with "{{InfoHeader UOFiction | title = Answers | type = BNN }}<div class="uofiction"> The dull glow of a power crystal reflected off of various glass instruments, sending scattered...")
 
m
 
Line 1: Line 1:
 
{{InfoHeader UOFiction
 
{{InfoHeader UOFiction
 
| title = Answers
 
| title = Answers
 +
|translation = 到来
 
| type = BNN
 
| type = BNN
 
}}<div class="uofiction">
 
}}<div class="uofiction">
Line 87: Line 88:
  
 
The party began rising and exchanging small goodbyes as they went on their separate tasks. [[UO:Nystul]]  watched all of them in silence and turned to leave. ''I know these men, and I can stop whatever this “Exodus” is. I only hope that once I leave to join our King, they can continue the fight without me.''
 
The party began rising and exchanging small goodbyes as they went on their separate tasks. [[UO:Nystul]]  watched all of them in silence and turned to leave. ''I know these men, and I can stop whatever this “Exodus” is. I only hope that once I leave to join our King, they can continue the fight without me.''
 +
 +
 +
<hr>
 +
 +
 +
パワークリスタルの鈍い輝きが、ニスタル(Nystul)の薄暗い研究室中に光を散りばめ、様々なガラスの実験器具がその光を映し出している。研究室の窓から入る月の明かりが彼を優しく包みこんでいるかのようであった。その年老いたメイジが気だるそうに腰掛けると、パワークリスタルの微かな紫の明かりは、彼の顔の心労から来るしわを、より深くしていくようにも見えた。かなりの時が経過したようだった。彼の助手をある会議を召集するために遣わしたのだが…。太陽がとっくに暮れてもその姿を見せることなく、蝋燭はすでに捏ねた蝋の塊と化していた。その間ずっと、彼はクリスタルを眺めながら、研究室のテーブルを殆ど離れてはいなかった。
 +
 +
この世界は力を持った指導者を必要としている、と彼は思ったが、だからといって、彼の信念を曲げるわけにはいかなかった。紫の光がしばらくの間、彼の目に映っていた。そして、少し目を細めてそれを見ていた。王はいつの日か、これがブリタニアにやってくる事を知っていたに違いない。姿だけを変える不死の邪悪…。その邪悪が地を這うようにしてこの地に再びやってくる事はない、と考えていた自らの愚かさに恥じ入っていた。もっと長く、彼をこの地に留めておくべきだったのだ。彼は行かねばならなかった。それは分かる。しかし、この地は彼の不在により苦しんでいるのだ。私は民衆が彼が居なくとも、この邪悪を追い返せること願うのみだ…。
 +
 +
軽く肩を叩かれたことで、ニスタルは目線を上へとやった。彼の実習生であるクレイニン(Clainin)は目が合うと、少しばかり驚いた。自分の師匠の邪魔をしたのではないかと、その実習生は不安げだった。ニスタルはすぐに振りかえり、またクリスタルを眺め始めた。
 +
 +
『申し訳ございません。あの・・・、お邪魔するつもりはなかったのですが・・・、。よろしいでしょうか?』クレイニンは年老いた師匠と彼の友人の陰鬱な表情を気に掛けながら、ゆっくりと話した。『こんな暗い研究室、先生、お好きでなかったでしょう。蝋燭をつけましょうか』
 +
 +
『放っておいてくれ、クレイニンよ。余計な事をするな。年を取ったのじゃろう・・・、お前が近づくのに気付かなかったのじゃよ』彼はゆっくりと立ち上がったが、その視線はクリスタルに注がれたままであった。『皆、集まったのか?』
 +
 +
『はい、ニスタル先生。皆、玉座の間に集合しております。彼らを集めるのに手間取り申し訳ございませんでした。クレット(Krett)に至っては、作業場から連れ出すのに、もう少しの所でフレームストライクを使うところでした。クリスタルが手に入って以来、彼は昼夜問わず、ゴーレムを作り続けているのです』
 +
 +
『クレイニンよ、お前にはよく説明できたじゃろうか?』ニスタルは突然振り向いて、彼の目前の弟子を見た。
 +
 +
『何でございましたでしょうか?』クレイニンは困惑した。その時、彼は師匠の顔に、今まで見た事のない不安げな表情を見たのだ。
 +
 +
『お前への訓練は十分じゃたろうか?私はお前に自らと一体となれる魔法の知識を授けたじゃろうか?それらはエーテルの謎を自らの力で切り拓いていけるものじゃろうか?それらはまた、この国を守るべく、本当にお前に全ての魔法を駆使させる事が出来るものなのじゃろうか?』
 +
 +
『私は…、私が思いますに、才能という点であなたの力と比較する以前に、私は何年という間、あなたの下で修行してまいりました』クレイニンは彼の師の様子をうかがいつつ、戸惑っていた。『今まで受けてきた教えの中で,あなたからの教え以上のものは受けた事がありません。あなたが城を留守にしているとき、研究室を整理整頓しておく事だって出来ます。あの…、スライムと魅惑の魔法で少しへまをやらかしましたが、階段の酸で解けたところはきちんとカーペットで隠しておきましたし…』
 +
 +
『お前はずっと従順で献身的な私の弟子じゃ、クレイニン』ニスタルはそのメイジの肩に手を置いた。『いつの日か素晴らしい魔導師になるじゃろう』
 +
 +
クレイニンは少しばかり不満げであった。『あの…、私に期待してくださっているのは、とても光栄なのですが…、一体どうなさったのですか?』
 +
 +
ニスタルは悲しげに微笑んだ。『また、次の機会に話そう』彼はクレイニンをドアのほうへと導いた。『まさに今、ブリタニアが我々の智慧を必要としているのじゃ』
 +
 +
 +
 +
 +
城の玉座の間は静まり返っていた。ただ、クレッツが床一面にクロックワーク=アッセンブリー(clockwork assembly)を散らかして作業する時のカチカチという音を除けば。シャミノ(Shamino)は椅子にもたれかけ、容易そうにダガーを宙に投げては、それを器用に掴んでいた。玉座の側にはデュプレ(Dupre)が立っていた。その戦士の体格は広間を照らし出す蝋燭の明かりの中でより威厳を増していた。彼はまるで彼の主君がまだそこに座っているかのように、王の席のすぐ横でそれを守護するかの如く立っているかに見えた。
 +
 +
クレイニンが歩いて行き、集まっている者達に静かに一礼した。彼らは頷きで彼を迎え入れ、そしてニスタルが部屋の入口の二人の衛兵に話し掛ける間、それを待っていた。衛兵は広間から出て行くと、ニスタルの後ろで扉を閉めた。彼は集まった者達より、一段高い場所に立ち、そこにいる者の興味を引くかのように、周りを見渡した。『皆、ご多忙の中、万事多難を排し、お集まりくださった事、恐れ入ります』
 +
 +
シャミノはダガーを掴み、音をたてずにそれをベルトに収めると、もたれかかるのを止め、背筋を伸ばして座り直した。『クレイニンがせかすので、出来る限り早くやってきました。彼が言うには、ニスタル殿、あなたが何か発見したとの事でしたが?』
 +
 +
ニスタルは頷いた。『その通り。そして、ここにいる皆に、それがよい知らせであったならばと思う…』
 +
 +
『やけに恐ろしい顔つきだな、旧友よ』デュプレが玉座の脇から言った。『あなたが見つけたという物が、一体全体どのような物なのか、我々に教えてくれ。我々は共にそれと対峙しようではないか』
 +
 +
その年老いたメイジは溜め息をつき、彼の前に集まった人々を見渡した。『クレットとシャミノが見つけてきたクリスタルを念入りに調べたのじゃ。ここ数日というもの、イルシェナーで見つかったものと併せて、その秘密を解くべく時間を費やしてきた。今から説明する事は…、本当に恐ろしい知らせになるじゃろう。しかし、今、目前に迫っている危機がどれほど深刻なものであるか理解する為にも、どうしても聞かせておかなければならんのじゃ…』
 +
 +
彼は話しながら、床をゆっくりと歩いた。その間、彼の影は蝋燭の明かりに照らされて、それが集まった者達の上で揺らめいた。『ここにいる皆が知っての通り、魔術はそれを使うメイジ個人と、とても密接な関係を持っている。魔法のエーテルが呪文を唱えるものによって使われるという現象は、その者の声や表情と殆ど同じくらい、その個人に密接に関連するのじゃ。このクリスタルは…』彼はその人工的な物をローブから取り出して言った。『…魔法により作られており、そして作成者のエナジーを宿している。発しているこの力を感じられる方もいるのではなかろうか』
 +
 +
『そうすると…、そのクリスタルを作った人物を…、えーと、あなたはご存知なのですか?ゴーレムの背後に…、えーと、誰がいるのかもご存知なのでしょうか?』クレットが興奮気味に尋ねた。
 +
 +
『残念じゃが、攻撃者がどのような者であるか、いまだ謎のままじゃ。‘エクソダス’という言葉が、仮に意味を持っているとしたら、それが何を意味しているのか、今のところ不明じゃ。しかし、いま知らせしたいのはそんな事ではない。ブリタニアに攻撃を仕掛けてきている者は皆、共通した魔法の力を持っている。そして、それは私の人生で、以前ある他者にそれを見出した事があるということなのじゃ…』ニスタルは立ち止まり、集まった者たちの注目が彼一身に集まっているのを確認しながら、彼らの方へと振り向いた。『私の言う他者とは、ミナックス(Minax)の事じゃ』
 +
 +
シャミノ、デュプレ、そしてクレットは驚きを共有しているかのような感覚に陥った。
 +
 +
『ミナックスはゴーレムを作り出す元となる物を持ってはいない。そしてゴーレムはフェルッカで、彼女のために派閥戦争を戦っているとは思えないが』デュプレは言った。その声は信じられないという事からか、雲がかかったような声だった。
 +
 +
シャミノが素早く立ち上がって言った。『すると…、モンデイン(Mondain)…?』
 +
 +
『いや、モンデインではない』ニスタルは即座に応えた。『遥か昔に死んでいる。いや、この魔法の力は奴らに通じる物はあるが、幾分違うところもあるのじゃ。ではあるが、私はこの脅威を深刻な物として恐れずにはいられないのじゃ』
 +
 +
『えーと…、あの…、質問、よろしいでしょうか?』クレットが言った。その声はその場の緊張感からか、小刻みに震えていた。『モンデインとかミナックスとか…、えーと…、どうして私がここにいるのでしょうか?私はただの細工師ですよ。腕には自信ありますが…、あの…、そんな大それた邪悪に立ち向かうなんてとても…』
 +
 +
『クレット、君の知識が必要なのじゃ』ニスタルは言った。『敵はこうしている間にも姿を隠している。魔法のサインを発しているクリスタルが、奴らの居場所がどうやって隠されているのか、その詳細について幾つか興味深い事を教えてくれたのじゃ。クレットよ、君はクリスタルとゴレームとがどういう関係にあるのか、ゴーレムがどうやってクリスタルの力を使うのかを理解している。その知識が必要なのじゃよ』
 +
 +
『実際には、何をするのですか?』シャミノが尋ねた。
 +
 +
『クレットと私は敵の居場所を特定する装置を作る予定じゃ。イルシェナーからの情報を総合すると、ピラミッド型の建造物が敵の潜伏場所へのある種の出入口なのではないかと思っている。それが発見されて以来、相当な量のエーテル=エネルギーを用いた呪文で封印されているのじゃ』ニスタルはクリスタルを高く掲げた。彼の顔にやわらかな光の影が出来た。『これのお陰で、エネルギーがどこからやってくるのか知る事が出来る』
 +
 +
『お話を聞いて不思議に思うのですが、』クレイニンが言った。『そんなにも強力なバリアを維持していく魔法エネルギーでしたら…、それは…、あの…、世界中から集めなければならないのではないでしょうか…』
 +
 +
『その通りじゃ、クレイニン』落ちこんでいるその場の雰囲気に反して、ニスタルは弟子に対して微笑みかけた。『そして実際に、イルシェナーに魔法を唱える者は、ピラミッドを閉じこめておくために必要な量を越えてしまっているのじゃ。その事が何か他の下劣な目的に利用されていなければいいのじゃが』
 +
 +
『それがどういう結果を生む事になるのでしょうか?私達はブリタニア中に調査隊を派遣してきました。そして、その様な膨大な魔力に繋がる手掛かりを何一つ見つけられないでいます』クレイニンは部屋をゆっくりと行ったり来たりしながら言った。『エネルギーを集めようとする者なら誰しも…』彼は立ち止まった。その顔は紅潮していた。『そのエネルギーは魔法で隠しておかなければならない…!?』
 +
 +
『その通りじゃ』ニスタルは実習生の肩に手を遣った。『私は何がこのエネルギーを集めているのか知る為に、様々な魔法を使った。今のところ、その魔法はトランメル、フェルッカ両面のあらゆる場所から引き出されている事位しか私には分からぬ。そこでクレット、私が君の助けを借りて作ろうとしている装置は,敵の力の根源を暴き出すための物なのじゃ。いったん見つけたとなれば、あとはそれがどのような物であっても破壊するのみじゃ。ピラミッドはきっと開く。ガーゴイルを奴隷としている者の正体も分かるかもしれない』
 +
 +
『そうなったらもっと多くの事が分かるかもしれませんね…』クレットは夢でも見ているように、宙を見上げていた。彼以外の人が、僅かばかりの好奇心を伴って彼を注目している事に気付くと、現実に押し戻された。『それはそうと…、私達が…、ああ…、私達はあなたの言うその装置を、まず最初に作らなければならないのですか?』クレットが尋ねた。
 +
 +
『そうじゃ。第一段階としてな。』ニスタルは溜め息をついた。『容易な事ではないことは分かっている。恐らく我々が集められる以上の、膨大な量の素材を必要とするじゃろう。クレイニン、全ブリタニア市民に告知してくれ。我々は素材収集の為、相当な助力を必要とする。城の中庭にその装置を作ることになろう。全市民がそこに必要な物を持ってくる事が求められているのじゃ』
 +
 +
『あなた方がその装置の作成を終えたら、私はトランメル中を偵察して回りましょう』シャミノが言った。『魔法を収集している敵の正体が暴かれたなら、それを出来る限り早く発見し、破壊せねば。デュプレよ、あなた方にはフェルッカをお任せできますか?』
 +
 +
『わかった』重装甲のパラディンは答えた。『だが、他の派閥の連中が、事を複雑にせねば良いのだが。フェルッカでその魔法収集の何かしらを見つけたとしても、恐らくはミナックスの連中や、或いはシャドーロード(Shadowlord)の連中ですら、我々がそれを破壊するのを食い止めようと、手薬煉引いて待ち構えているかも知れぬ。奴らが本気で事を構えようとしているなら、我々に勝ち目は無いぞ』
 +
 +
『その様な状況が発生すれば、メイジ評議会(Council of Mages)の助力を得ることが出来ます。』クレイニンが言った。『リーダーの中に、影響力がある友人が数人いるのですよ』
 +
 +
ニスタルは部屋の中央まで歩き、集まった者一人一人の顔を見つめた。『これで、各人のなすべき事が御分かり頂けたはずじゃ。友よ…、今回の新しい脅威が全ソーサリアにとって、どれほど致命的な物になるかなどと言っている場合ではない。全世界がこの邪悪を根絶するべく、ブリタニアに住む全ての人々を頼みにしているのじゃ。さぁ、仕事に取り掛かってくれ。やる事は山ほどあるぞ』
 +
 +
そこに集まった彼らは、各々の仕事に向かうのに先だって、立ちあがり、お互い軽い別れの挨拶をした。ニスタルは無言で彼らを見つめ、そして自らも振りかえり、その場を立ち去った。
 +
 +
私には確信がある。彼ら、そして私は‘エクソダス’が何であったとしても、それを食い止めて見せる。ただ望むとすれば、私が王の下に行ったとしても、彼らが私なしで戦い抜いてくれる事だ。ニスタルはそんな風に思っていた。
  
 
</div>{{InfoFooter UOFiction| type = BNN}}
 
</div>{{InfoFooter UOFiction| type = BNN}}

Latest revision as of 09:27, 31 May 2017


BNNMasthead.gif
Global Edition


Answers / 到来

Author: Unknown author Published: November 1, 2001



The dull glow of a power crystal reflected off of various glass instruments, sending scattered light across Nystul 's dark lab. The faint purple illumination seemed to deepen the lines of worry on the old mage’s face as he sat motionless, the moonlight gently bathing him from the laboratory window. Long ago he had sent his assistant to gather a meeting. Since then the sun had long set and the candles lay in puddles of wax. All the while he had hardly moved from his place at the table in the laboratory, staring at the crystal.

This world needs men of power, he thought, and yet I cannot change my path. A glint of the purple light shone in his eyes for a moment and he squinted slightly. The King must have known that this would come to pass in Britannia someday. Evil such as this never dies… it only changes in appearance. It was foolish of me to think it would not crawl upon the land again. I should have made him stay longer. He left because he had to, I know, but the land aches from his absence. I only hope the people can drive back this evil without him.

A tapping on his shoulder made Nystul look up, startled, into the eyes of his apprentice, Clainin. The apprentice looked worried for having disturbed his mentor. Nystul quickly returned to staring at the crystal.

“I'm sorry, I didn't mean to... interrupt. Is everything well here?" Clainin spoke slowly, seeing the deep frown on the face of his old teacher and friend. "I know you usually do not like the laboratory this dark. Shall I light a candle?”

“No. No, Clainin that won't be necessary. I must be getting old... I didn't notice you approaching." The elderly man slowly lifted himself into a standing position, still staring at the crystal on the table before him. "I trust everyone has gathered?”

“Yes, Nystul . They await you in the throne room. I apologize for the delay in getting everyone here... I almost had to use a flamestrike to make Krett leave his workshop. He's been constructing golems night and day ever since the crystals were—”

“Clainin, have I taught you well?” Nystul turned suddenly from the crystal to look at the younger man before him.

“Pardon?” Clainin looked concerned. He had never seen such worry in the face of his mentor.

“Have I trained you well? Have I given you enough knowledge of magery that you feel as one with it? That you could explore the mysteries of the ether on your own? That you could use all the powers of magic available to you to defend this realm?”

“I... I think I have a number of years before I could compare to your strength in the arts." Clainin paused, trying to study his teacher. "I don't believe I could have recieved a better education from anyone but you. I like to think that when you're away from the castle I can keep things in order in the laboratory. Well, there was that one incident with the slimes and the enchantment spell, but I think the carpet I found covered the stains from the acid...”

“You've been a good and dedicated student, Clainin." Nystul put a hand on the mage’s shoulder. "You shall make a great wizard someday.”

Clainin looked slightly uncomfortable. “I... I appreciate the confidence you have in me... but what is this about?”

Nystul smiled sadly. “Another time." He guided Clainin to the doorway. "Right now, Britannia needs our clarity of thought.”


The throne room of the castle was quiet, save for the sound of Krett's tools clinking as he worked over a clockwork assembly spread out in parts over the floor. Shamino lounged in a chair, casually tossing a dagger in the air and catching it deftly. To the side of the throne stood Dupre, his large warrior stature imposing in the light of the candles illuminating the chamber. He seemed to stand protectively next to the royal seat, as if his King still sat there.

Clainin walked in and greeted the men quietly. They acknowledged him with nods and waited as Nystul spoke to a pair of guards at the entrance to the room. They stepped outside the chamber and shut the doors behind Nystul . He stepped up to the gathering and glanced around to catch everyone's attention. “Gentlemen, I appreciate your haste in coming to the castle.”

Shamino sat up straight, catching his dagger and returning it to his belt without a sound. “We came as soon as Clainin gave us word. He says you have discovered something?”

Nystul nodded. “I have indeed. And I wish I had better news to tell all of you.”

“You look grim, old friend." Dupre said from beside the throne. "Tell us what it is you have found; together we shall face it.”

The elderly mage sighed and looked around at the men before him. “I have made a careful study of the crystal that Krett and Shamino found and have been spending the past few days discovering some of its secrets, along with other pieces of evidence found in Ilshenar. What I am about to tell you... is grim news indeed, but it must be heard so that you can understand how serious the threat before us is.”

He paced the floor slowly as he spoke, his shadow flickering over the others in the candlelight. “As many of you know, magic is very... personal to the mage using it. The way the magical ether is used by a spell caster is almost as individual as a voice or a face. This crystal," he said as he removed the artifact from his robe, "was created with magic, and has the creator’s... energy, if you will, emanating from it.”

“So... ah, you know who it is that ah... made the crystal? You know who is, ah... behind the golems?” Krett asked excitedly.

“Unfortunately, the identity of our attacker remains a mystery. We are still not sure what 'Exodus' means, if it even has a meaning. But that is not the news I spoke of. Whoever has been orchestrating these attacks on Britannia has a familiar magical energy that I have seen in only one other before in my lifetime." Nystul stopped and turned to the men, looking at each of them to make sure he had their full attention. "The other I speak of is Minax.”

Shamino, Dupre and Krett exchanged looks of shock.

“Minax has not the resources to create these golems. And they don't seem to be working for her in the faction wars in Felucca.” Dupre said, disbelief clouding his voice.

Shamino stood quickly. “Then... Mondain...?”

“No, not Mondain." Nystul replied quickly. "He is long dead. No, this magical energy is very similar to theirs, but different somehow. Nevertheless, I fear the threat we face is just as serious.”

“May I, ah... may I ask a question?" Krett asked. His voice was almost quivering with nervousness. "I'm hearing the names, ah... Mondain and Minax... why am I here? I'm just a tinker. A good one, I ah... I may be but the idea of facing evil such as that...”

“I need your knowledge, Krett." Nystul said. "Our enemy has this entire time been hidden in seclusion. The crystals bearing the magical signature have led me to discover some interesting details on how that seclusion is being maintained. Krett, you have an understanding of how these crystals interact with the golems, and how the golems use the power of the crystals. We need that knowledge.”

“For what, exactly?” Shamino asked.

“Krett and I are going to build a magical device that will allow us to find our attacker. From the knowledge gathered in Ilshenar, I suspect the large pyramid structure is some sort of gateway to our enemies’ lair. It has been blocked by spells since it was discovered - spells that are using a great deal of ethereal energy." Nystul held up the crystal. The glow shadowed his face with soft light. "Thanks to this, we know where that energy is coming from.”

“I've been confused about that." Clainin said. "The magical energy being used to keep the barrier that strong would have to come from... well… all over the world.”

“That is exactly where it has been coming from, Clainin." Despite the gravity of their situation, Nystul smiled at his pupil. “And in fact, whoever is drawing the magic into Ilshenar is taking more than they would need to block the pyramid. I fear it is being used for some other vile purpose.”

“How can that be? We have sent search parties all over Britannia, and they have found nothing that could channel so much magic." Clainin said, starting to pace across the room. "Whatever was gathering the energy would have to..." he stopped and his face lit up. "It would have to be hidden with magic!”

“Exactly." Nystul patted his apprentice on the shoulder. "I have used a number of spells to find what gathers this energy. All I know right now is that the magic is being pulled from many different locations, both in Trammel and Felucca. Krett, the device you will help me build is going to reveal the source of our enemy's power. Once we find and destroy these... whatever they may be, I believe the pyramid will open. We may even find what is enslaving the gargoyles.”

“We could learn so much from them…” Krett stared into space as if in a dream. He noticed the rest of the party looking at him in slight amusement and snapped back to reality. "But first we, ah... we need to build this... device you spoke of?” Krett asked.

“Yes, that is the first step." Nystul sighed. "And it will not be easy. We will need a great deal of materials - more than just we could hope to gather. Clainin, send word to every citizen of Britannia. We shall require much help gathering resources. We will build this device in the courtyard of the castle. They will need to bring supplies there.”

“Once you finish this device of ours, I will begin scouting throughout Trammel," Shamino said. "When our enemy's magic gatherers are revealed, we should find and destroy them as quickly as possible. Dupre, can your men search Felucca?”

“Aye," the heavy paladin replied. "Although I hope the other factions will not make this more difficult. I fear when we find these magic gatherers in Felucca, we may find Followers of Minax, or even Shadowlord solders waiting to stop us from destroying them. If they stand in our way too strongly we may never win.”

“Under the circumstances, I may be able to gain the support of the Council of Mages," Clainin said. "I still have some influential friends among the leaders.”

Nystul walked to the middle of the room and looked to each of the men. “Then it seems we all have our tasks. My friends... I do not need to tell you how deadly this new threat could be to all of Sosaria. The entire world is counting on everyone in Britannia to eradicate this evil. Let us begin work; we have much to do.”

The party began rising and exchanging small goodbyes as they went on their separate tasks. Nystul watched all of them in silence and turned to leave. I know these men, and I can stop whatever this “Exodus” is. I only hope that once I leave to join our King, they can continue the fight without me.




パワークリスタルの鈍い輝きが、ニスタル(Nystul)の薄暗い研究室中に光を散りばめ、様々なガラスの実験器具がその光を映し出している。研究室の窓から入る月の明かりが彼を優しく包みこんでいるかのようであった。その年老いたメイジが気だるそうに腰掛けると、パワークリスタルの微かな紫の明かりは、彼の顔の心労から来るしわを、より深くしていくようにも見えた。かなりの時が経過したようだった。彼の助手をある会議を召集するために遣わしたのだが…。太陽がとっくに暮れてもその姿を見せることなく、蝋燭はすでに捏ねた蝋の塊と化していた。その間ずっと、彼はクリスタルを眺めながら、研究室のテーブルを殆ど離れてはいなかった。

この世界は力を持った指導者を必要としている、と彼は思ったが、だからといって、彼の信念を曲げるわけにはいかなかった。紫の光がしばらくの間、彼の目に映っていた。そして、少し目を細めてそれを見ていた。王はいつの日か、これがブリタニアにやってくる事を知っていたに違いない。姿だけを変える不死の邪悪…。その邪悪が地を這うようにしてこの地に再びやってくる事はない、と考えていた自らの愚かさに恥じ入っていた。もっと長く、彼をこの地に留めておくべきだったのだ。彼は行かねばならなかった。それは分かる。しかし、この地は彼の不在により苦しんでいるのだ。私は民衆が彼が居なくとも、この邪悪を追い返せること願うのみだ…。

軽く肩を叩かれたことで、ニスタルは目線を上へとやった。彼の実習生であるクレイニン(Clainin)は目が合うと、少しばかり驚いた。自分の師匠の邪魔をしたのではないかと、その実習生は不安げだった。ニスタルはすぐに振りかえり、またクリスタルを眺め始めた。

『申し訳ございません。あの・・・、お邪魔するつもりはなかったのですが・・・、。よろしいでしょうか?』クレイニンは年老いた師匠と彼の友人の陰鬱な表情を気に掛けながら、ゆっくりと話した。『こんな暗い研究室、先生、お好きでなかったでしょう。蝋燭をつけましょうか』

『放っておいてくれ、クレイニンよ。余計な事をするな。年を取ったのじゃろう・・・、お前が近づくのに気付かなかったのじゃよ』彼はゆっくりと立ち上がったが、その視線はクリスタルに注がれたままであった。『皆、集まったのか?』

『はい、ニスタル先生。皆、玉座の間に集合しております。彼らを集めるのに手間取り申し訳ございませんでした。クレット(Krett)に至っては、作業場から連れ出すのに、もう少しの所でフレームストライクを使うところでした。クリスタルが手に入って以来、彼は昼夜問わず、ゴーレムを作り続けているのです』

『クレイニンよ、お前にはよく説明できたじゃろうか?』ニスタルは突然振り向いて、彼の目前の弟子を見た。

『何でございましたでしょうか?』クレイニンは困惑した。その時、彼は師匠の顔に、今まで見た事のない不安げな表情を見たのだ。

『お前への訓練は十分じゃたろうか?私はお前に自らと一体となれる魔法の知識を授けたじゃろうか?それらはエーテルの謎を自らの力で切り拓いていけるものじゃろうか?それらはまた、この国を守るべく、本当にお前に全ての魔法を駆使させる事が出来るものなのじゃろうか?』

『私は…、私が思いますに、才能という点であなたの力と比較する以前に、私は何年という間、あなたの下で修行してまいりました』クレイニンは彼の師の様子をうかがいつつ、戸惑っていた。『今まで受けてきた教えの中で,あなたからの教え以上のものは受けた事がありません。あなたが城を留守にしているとき、研究室を整理整頓しておく事だって出来ます。あの…、スライムと魅惑の魔法で少しへまをやらかしましたが、階段の酸で解けたところはきちんとカーペットで隠しておきましたし…』

『お前はずっと従順で献身的な私の弟子じゃ、クレイニン』ニスタルはそのメイジの肩に手を置いた。『いつの日か素晴らしい魔導師になるじゃろう』

クレイニンは少しばかり不満げであった。『あの…、私に期待してくださっているのは、とても光栄なのですが…、一体どうなさったのですか?』

ニスタルは悲しげに微笑んだ。『また、次の機会に話そう』彼はクレイニンをドアのほうへと導いた。『まさに今、ブリタニアが我々の智慧を必要としているのじゃ』



城の玉座の間は静まり返っていた。ただ、クレッツが床一面にクロックワーク=アッセンブリー(clockwork assembly)を散らかして作業する時のカチカチという音を除けば。シャミノ(Shamino)は椅子にもたれかけ、容易そうにダガーを宙に投げては、それを器用に掴んでいた。玉座の側にはデュプレ(Dupre)が立っていた。その戦士の体格は広間を照らし出す蝋燭の明かりの中でより威厳を増していた。彼はまるで彼の主君がまだそこに座っているかのように、王の席のすぐ横でそれを守護するかの如く立っているかに見えた。

クレイニンが歩いて行き、集まっている者達に静かに一礼した。彼らは頷きで彼を迎え入れ、そしてニスタルが部屋の入口の二人の衛兵に話し掛ける間、それを待っていた。衛兵は広間から出て行くと、ニスタルの後ろで扉を閉めた。彼は集まった者達より、一段高い場所に立ち、そこにいる者の興味を引くかのように、周りを見渡した。『皆、ご多忙の中、万事多難を排し、お集まりくださった事、恐れ入ります』

シャミノはダガーを掴み、音をたてずにそれをベルトに収めると、もたれかかるのを止め、背筋を伸ばして座り直した。『クレイニンがせかすので、出来る限り早くやってきました。彼が言うには、ニスタル殿、あなたが何か発見したとの事でしたが?』

ニスタルは頷いた。『その通り。そして、ここにいる皆に、それがよい知らせであったならばと思う…』

『やけに恐ろしい顔つきだな、旧友よ』デュプレが玉座の脇から言った。『あなたが見つけたという物が、一体全体どのような物なのか、我々に教えてくれ。我々は共にそれと対峙しようではないか』

その年老いたメイジは溜め息をつき、彼の前に集まった人々を見渡した。『クレットとシャミノが見つけてきたクリスタルを念入りに調べたのじゃ。ここ数日というもの、イルシェナーで見つかったものと併せて、その秘密を解くべく時間を費やしてきた。今から説明する事は…、本当に恐ろしい知らせになるじゃろう。しかし、今、目前に迫っている危機がどれほど深刻なものであるか理解する為にも、どうしても聞かせておかなければならんのじゃ…』

彼は話しながら、床をゆっくりと歩いた。その間、彼の影は蝋燭の明かりに照らされて、それが集まった者達の上で揺らめいた。『ここにいる皆が知っての通り、魔術はそれを使うメイジ個人と、とても密接な関係を持っている。魔法のエーテルが呪文を唱えるものによって使われるという現象は、その者の声や表情と殆ど同じくらい、その個人に密接に関連するのじゃ。このクリスタルは…』彼はその人工的な物をローブから取り出して言った。『…魔法により作られており、そして作成者のエナジーを宿している。発しているこの力を感じられる方もいるのではなかろうか』

『そうすると…、そのクリスタルを作った人物を…、えーと、あなたはご存知なのですか?ゴーレムの背後に…、えーと、誰がいるのかもご存知なのでしょうか?』クレットが興奮気味に尋ねた。

『残念じゃが、攻撃者がどのような者であるか、いまだ謎のままじゃ。‘エクソダス’という言葉が、仮に意味を持っているとしたら、それが何を意味しているのか、今のところ不明じゃ。しかし、いま知らせしたいのはそんな事ではない。ブリタニアに攻撃を仕掛けてきている者は皆、共通した魔法の力を持っている。そして、それは私の人生で、以前ある他者にそれを見出した事があるということなのじゃ…』ニスタルは立ち止まり、集まった者たちの注目が彼一身に集まっているのを確認しながら、彼らの方へと振り向いた。『私の言う他者とは、ミナックス(Minax)の事じゃ』

シャミノ、デュプレ、そしてクレットは驚きを共有しているかのような感覚に陥った。

『ミナックスはゴーレムを作り出す元となる物を持ってはいない。そしてゴーレムはフェルッカで、彼女のために派閥戦争を戦っているとは思えないが』デュプレは言った。その声は信じられないという事からか、雲がかかったような声だった。

シャミノが素早く立ち上がって言った。『すると…、モンデイン(Mondain)…?』

『いや、モンデインではない』ニスタルは即座に応えた。『遥か昔に死んでいる。いや、この魔法の力は奴らに通じる物はあるが、幾分違うところもあるのじゃ。ではあるが、私はこの脅威を深刻な物として恐れずにはいられないのじゃ』

『えーと…、あの…、質問、よろしいでしょうか?』クレットが言った。その声はその場の緊張感からか、小刻みに震えていた。『モンデインとかミナックスとか…、えーと…、どうして私がここにいるのでしょうか?私はただの細工師ですよ。腕には自信ありますが…、あの…、そんな大それた邪悪に立ち向かうなんてとても…』

『クレット、君の知識が必要なのじゃ』ニスタルは言った。『敵はこうしている間にも姿を隠している。魔法のサインを発しているクリスタルが、奴らの居場所がどうやって隠されているのか、その詳細について幾つか興味深い事を教えてくれたのじゃ。クレットよ、君はクリスタルとゴレームとがどういう関係にあるのか、ゴーレムがどうやってクリスタルの力を使うのかを理解している。その知識が必要なのじゃよ』

『実際には、何をするのですか?』シャミノが尋ねた。

『クレットと私は敵の居場所を特定する装置を作る予定じゃ。イルシェナーからの情報を総合すると、ピラミッド型の建造物が敵の潜伏場所へのある種の出入口なのではないかと思っている。それが発見されて以来、相当な量のエーテル=エネルギーを用いた呪文で封印されているのじゃ』ニスタルはクリスタルを高く掲げた。彼の顔にやわらかな光の影が出来た。『これのお陰で、エネルギーがどこからやってくるのか知る事が出来る』

『お話を聞いて不思議に思うのですが、』クレイニンが言った。『そんなにも強力なバリアを維持していく魔法エネルギーでしたら…、それは…、あの…、世界中から集めなければならないのではないでしょうか…』

『その通りじゃ、クレイニン』落ちこんでいるその場の雰囲気に反して、ニスタルは弟子に対して微笑みかけた。『そして実際に、イルシェナーに魔法を唱える者は、ピラミッドを閉じこめておくために必要な量を越えてしまっているのじゃ。その事が何か他の下劣な目的に利用されていなければいいのじゃが』

『それがどういう結果を生む事になるのでしょうか?私達はブリタニア中に調査隊を派遣してきました。そして、その様な膨大な魔力に繋がる手掛かりを何一つ見つけられないでいます』クレイニンは部屋をゆっくりと行ったり来たりしながら言った。『エネルギーを集めようとする者なら誰しも…』彼は立ち止まった。その顔は紅潮していた。『そのエネルギーは魔法で隠しておかなければならない…!?』

『その通りじゃ』ニスタルは実習生の肩に手を遣った。『私は何がこのエネルギーを集めているのか知る為に、様々な魔法を使った。今のところ、その魔法はトランメル、フェルッカ両面のあらゆる場所から引き出されている事位しか私には分からぬ。そこでクレット、私が君の助けを借りて作ろうとしている装置は,敵の力の根源を暴き出すための物なのじゃ。いったん見つけたとなれば、あとはそれがどのような物であっても破壊するのみじゃ。ピラミッドはきっと開く。ガーゴイルを奴隷としている者の正体も分かるかもしれない』

『そうなったらもっと多くの事が分かるかもしれませんね…』クレットは夢でも見ているように、宙を見上げていた。彼以外の人が、僅かばかりの好奇心を伴って彼を注目している事に気付くと、現実に押し戻された。『それはそうと…、私達が…、ああ…、私達はあなたの言うその装置を、まず最初に作らなければならないのですか?』クレットが尋ねた。

『そうじゃ。第一段階としてな。』ニスタルは溜め息をついた。『容易な事ではないことは分かっている。恐らく我々が集められる以上の、膨大な量の素材を必要とするじゃろう。クレイニン、全ブリタニア市民に告知してくれ。我々は素材収集の為、相当な助力を必要とする。城の中庭にその装置を作ることになろう。全市民がそこに必要な物を持ってくる事が求められているのじゃ』

『あなた方がその装置の作成を終えたら、私はトランメル中を偵察して回りましょう』シャミノが言った。『魔法を収集している敵の正体が暴かれたなら、それを出来る限り早く発見し、破壊せねば。デュプレよ、あなた方にはフェルッカをお任せできますか?』

『わかった』重装甲のパラディンは答えた。『だが、他の派閥の連中が、事を複雑にせねば良いのだが。フェルッカでその魔法収集の何かしらを見つけたとしても、恐らくはミナックスの連中や、或いはシャドーロード(Shadowlord)の連中ですら、我々がそれを破壊するのを食い止めようと、手薬煉引いて待ち構えているかも知れぬ。奴らが本気で事を構えようとしているなら、我々に勝ち目は無いぞ』

『その様な状況が発生すれば、メイジ評議会(Council of Mages)の助力を得ることが出来ます。』クレイニンが言った。『リーダーの中に、影響力がある友人が数人いるのですよ』

ニスタルは部屋の中央まで歩き、集まった者一人一人の顔を見つめた。『これで、各人のなすべき事が御分かり頂けたはずじゃ。友よ…、今回の新しい脅威が全ソーサリアにとって、どれほど致命的な物になるかなどと言っている場合ではない。全世界がこの邪悪を根絶するべく、ブリタニアに住む全ての人々を頼みにしているのじゃ。さぁ、仕事に取り掛かってくれ。やる事は山ほどあるぞ』

そこに集まった彼らは、各々の仕事に向かうのに先だって、立ちあがり、お互い軽い別れの挨拶をした。ニスタルは無言で彼らを見つめ、そして自らも振りかえり、その場を立ち去った。

私には確信がある。彼ら、そして私は‘エクソダス’が何であったとしても、それを食い止めて見せる。ただ望むとすれば、私が王の下に行ったとしても、彼らが私なしで戦い抜いてくれる事だ。ニスタルはそんな風に思っていた。