Difference between revisions of "UO:2001-06-07: Unrelenting Tide"
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+ | 地元の女性ヒーラーが、ダンカンの傷ついた腕に包帯をきつく巻きつけると、ダンカンはその痛みから一瞬ひるんだ。彼は目を細め、視線を床に落とすと、彼自身を傷つけた血にまみれた矢を見据え、自分が不死身ではないことを悟った。包帯による治療はすでに終わっていたが、完治するまでは盾を使うことなく戦わなければならないだろう。ヒーラー同士の会話をぼんやりと聞きながら、薄暗い照明の灯る部屋を見渡した。どうやら前回のオーク襲撃で命を落とさなかったのは幸運だったに違いないと彼は思った。多くの友人達は、終わりのないオークの攻撃の波に呑まれていったのだから…。 | ||
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+ | 『こんな大規模な襲撃にはこれ以上耐えられません!一体、世界中にどれほどのオークが存在するというのでしょう?』ヒーラーが話題を変えるかのように突然声を発した。 | ||
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+ | ダンカンの隣には戦士が横たわっていた。彼女の頭部には包帯が巻かれ、表情をしかめながら治療ベッドを支えに、なんとか上半身だけを起き上がらせていた。『奴らを食い止める方法なんてないように思えるけど、きっと何らかの方法はあるはずだわ!』彼女はそのことを強調しようと、拳を手の平に打ち付けた。 | ||
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+ | 『この襲撃は街を占拠する目的には見えない。』ダンカンは周りにではなく、自分に言い聞かせるように言った。『占領が目的ではないとすれば、この攻囲を阻むことは難しいだろう。攻撃の波はどれも何かから追い立てられているかのようなオークの一群で、街の侵略なんかではなく、単純に前方に目に入った人間に襲い掛かっているようにも思えるんだ。他の街からの報告を聞いても、同じように占領するでもなく、単純に襲撃を繰り返しているらしい。つまり、これだけは言える。奴らは何かに取り憑かれている。』 | ||
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+ | ブリテインから着いたばかりの別の戦士が治療部屋の仲間に加わった。『あぁ、俺もその話を聞いたよ。俺がどう思っているか教えてやろうか?問題はオークなんかじゃねぇ…、もっとスケールがでかく怪しげなものに違いないってことだ。』 | ||
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+ | 『あぁ。』ダンカンは頷いた。『それがどんな奴らだとしても、未だに姿を見せていない。だからこそ、今は可能な限り自分達の街を守り、そして祈るしかない!』 | ||
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+ | 『今はまだ無理じゃないかしら?』ダンカンがその返答を持ち合わせていないこと知っているヒーラーは、パラディンに片目をつぶって見せた。気まずくなったダンカンはこの数日間で初めて頬に微笑を見せた。コーブの住民は彼に強力で楽観的な戦士としての存在を望んでいることは重々承知していたが、繰り返されるオークの襲撃に彼の高揚していた精神、そして決意さえも揺らいでいたのだ。しかし、力の弱い同志達が王室ガードの保護下へ入るため、ブリテインやトリンシックへ逃げ出した今となっては、彼はその同志達のためにも、誇り高きパラディンでいなければならない。ダンカンは絶望感の漂う治療院を見回すと、目に見えぬ敵を悟ったかのように静かに一人頷いた。どのような敵であろうとも、この惨劇に対する代償は計り知れないものとなるだろう…。 | ||
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+ | 治療院内の同志達が話を続けていると、突然石壁の外で連続した爆裂音が響いた。その瞬間、怪我をした戦士が治療ベッドから叩き落されると同時に、棚の治療用ポーションの瓶が砕けたガラスとなって飛散した。即座にダンカンは立ち上がると、痛みにふらつきながら剣を強く握り締めた。 | ||
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+ | 『大砲?』若いヒーラーは床に倒れた女性戦士をベッドに戻すのを手伝いながら、明らかに目に恐怖を浮かべながら震えた声で訊ねた。 | ||
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+ | ダンカンは否定の代わりに頭を振り、内部のパニックを収めようとしていた。『オークは大砲など使うことはないし、また保持もしていないはずだ。恐らくは何か新しい玩具でも手にいれたんだろう。』彼はブリテインから来た戦士を指差すと告げた。『一緒に来てくれ。』 | ||
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+ | 2人の戦士は比較的安全と呼べた治療院を後に、新たなオークからの脅威に用心深く静かに煙の中へと消えて行った…。 | ||
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Latest revision as of 09:20, 31 May 2017
Duncan winced as the local healer pulled the bandage tighter around his wounded arm. As he glanced down at the bloody arrow lying on the ground next to him, Duncan was reminded of his own mortality. The wound would heal in time, but he would have to fight without his shield for a while. As he listened to the healer's idle conversation and looked around the dimly lit room, he reminded himself he was lucky to even be alive after the last orc raid. Many of his fellow townspeople had perished trying to stem the never-ending tide of orcs.
“They can't keep coming like this! How many orcs can there possibly be in the world!?” the young healer suddenly asked, changing the subject.
A warrior laying next to Duncan, her head wrapped in a bandage, propped herself up painfully from her cot. “Seems there's no stopping them. There has to be a way to keep them from taking the town!” The warrior pounded her fist into her open palm as if to accentuate her point.
“They don't seem interested in controlling the city, though," Duncan said, more to himself than to the others. "Can't stop a siege if the invaders don't actually try to take anything over. It's almost as if each wave is a separate group of orcs, running from something and just smashing whatever gets in their way, rather than some organized invasion with a purpose. I've heard reports from other towns that the orcs attacking them aren't actually making moves to take control either. Something's got 'em spooked, that's for sure.”
Another warrior joined the group, this one having just recently arrived from Britain. “I've heard that too. You know what I think? The orcs aren't the real problem... more like a symptom of something bigger.”
“Aye," Duncan nodded. "And whatever it is that's doing this hasn't shown itself yet. So for now, the best we can do is protect our homes and hope for the best.”
“That's hardly encouraging,” the healer said, giving the Paladin a wink to let him know she wasn't expecting him to have all of the answers. Duncan smiled slightly for the first time in days. He knew the people of Cove needed him to stay strong and optimistic, but every band of orcs that attacked made it harder to keep his spirits high and his determination strong. He remained proud of his people, though, knowing that lesser men and women would have long ago fled along with the royal guards to the safety of Britain or Trinsic. As he looked around at the despair and carnage in the room, he silently vowed to himself that when he did find this unseen enemy, they would pay for the destruction their actions had wrought.
As the group continued to talk, a series of explosions from outside rocked the building, knocking the injured warrior from her cot and hurling glasses and healing bottles from their shelves. Duncan immediately rose, much as it pained him to do so, and gripped his sword tightly.
“Cannons!?” the young healer asked shakily, as she helped the injured warrior back to her cot, the fear evident in her eyes.
Duncan waved his hand dismissively, trying to calm those inside. “Orcs don't use cannons, never have. They must have found some new toys." He pointed at the warrior from Britain. "Come with me.”
Both warriors carefully left the safety of their hiding place, warily looking for the new orc threat.
地元の女性ヒーラーが、ダンカンの傷ついた腕に包帯をきつく巻きつけると、ダンカンはその痛みから一瞬ひるんだ。彼は目を細め、視線を床に落とすと、彼自身を傷つけた血にまみれた矢を見据え、自分が不死身ではないことを悟った。包帯による治療はすでに終わっていたが、完治するまでは盾を使うことなく戦わなければならないだろう。ヒーラー同士の会話をぼんやりと聞きながら、薄暗い照明の灯る部屋を見渡した。どうやら前回のオーク襲撃で命を落とさなかったのは幸運だったに違いないと彼は思った。多くの友人達は、終わりのないオークの攻撃の波に呑まれていったのだから…。
『こんな大規模な襲撃にはこれ以上耐えられません!一体、世界中にどれほどのオークが存在するというのでしょう?』ヒーラーが話題を変えるかのように突然声を発した。
ダンカンの隣には戦士が横たわっていた。彼女の頭部には包帯が巻かれ、表情をしかめながら治療ベッドを支えに、なんとか上半身だけを起き上がらせていた。『奴らを食い止める方法なんてないように思えるけど、きっと何らかの方法はあるはずだわ!』彼女はそのことを強調しようと、拳を手の平に打ち付けた。
『この襲撃は街を占拠する目的には見えない。』ダンカンは周りにではなく、自分に言い聞かせるように言った。『占領が目的ではないとすれば、この攻囲を阻むことは難しいだろう。攻撃の波はどれも何かから追い立てられているかのようなオークの一群で、街の侵略なんかではなく、単純に前方に目に入った人間に襲い掛かっているようにも思えるんだ。他の街からの報告を聞いても、同じように占領するでもなく、単純に襲撃を繰り返しているらしい。つまり、これだけは言える。奴らは何かに取り憑かれている。』
ブリテインから着いたばかりの別の戦士が治療部屋の仲間に加わった。『あぁ、俺もその話を聞いたよ。俺がどう思っているか教えてやろうか?問題はオークなんかじゃねぇ…、もっとスケールがでかく怪しげなものに違いないってことだ。』
『あぁ。』ダンカンは頷いた。『それがどんな奴らだとしても、未だに姿を見せていない。だからこそ、今は可能な限り自分達の街を守り、そして祈るしかない!』
『今はまだ無理じゃないかしら?』ダンカンがその返答を持ち合わせていないこと知っているヒーラーは、パラディンに片目をつぶって見せた。気まずくなったダンカンはこの数日間で初めて頬に微笑を見せた。コーブの住民は彼に強力で楽観的な戦士としての存在を望んでいることは重々承知していたが、繰り返されるオークの襲撃に彼の高揚していた精神、そして決意さえも揺らいでいたのだ。しかし、力の弱い同志達が王室ガードの保護下へ入るため、ブリテインやトリンシックへ逃げ出した今となっては、彼はその同志達のためにも、誇り高きパラディンでいなければならない。ダンカンは絶望感の漂う治療院を見回すと、目に見えぬ敵を悟ったかのように静かに一人頷いた。どのような敵であろうとも、この惨劇に対する代償は計り知れないものとなるだろう…。
治療院内の同志達が話を続けていると、突然石壁の外で連続した爆裂音が響いた。その瞬間、怪我をした戦士が治療ベッドから叩き落されると同時に、棚の治療用ポーションの瓶が砕けたガラスとなって飛散した。即座にダンカンは立ち上がると、痛みにふらつきながら剣を強く握り締めた。
『大砲?』若いヒーラーは床に倒れた女性戦士をベッドに戻すのを手伝いながら、明らかに目に恐怖を浮かべながら震えた声で訊ねた。
ダンカンは否定の代わりに頭を振り、内部のパニックを収めようとしていた。『オークは大砲など使うことはないし、また保持もしていないはずだ。恐らくは何か新しい玩具でも手にいれたんだろう。』彼はブリテインから来た戦士を指差すと告げた。『一緒に来てくれ。』
2人の戦士は比較的安全と呼べた治療院を後に、新たなオークからの脅威に用心深く静かに煙の中へと消えて行った…。